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福井でSFアニメ「JUNK HEAD」先行上映会 監督・堀貴秀さん、制作秘話交え舞台あいさつ

舞台あいさつに立つ堀さん。メイキング映像を交えながら制作エピソードを紹介した

舞台あいさつに立つ堀さん。メイキング映像を交えながら制作エピソードを紹介した

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 福井市にある映画館「メトロ劇場」(福井市順化1)で5月5日、映画「JUNK HEAD」の先行上映会が行われた。

インタビューに応える堀さん。同作は3部作の1作目で、「続編の絵コンテもすでに完成済み」という

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 「JUNK HEAD」は、大分県出身の映画監督・堀貴秀さんが手掛けたストップモーションアニメーション作品で、地下世界で独自の生態系を築く人工生命体「マリガン」と、地上から生命体調査に派遣された主人公との冒険を描く作品。7年間掛けて制作された100分の長編で、3月下旬の公開以来、熱心な映画ファンの間で話題になっている。

 堀さんは大分県立芸術緑丘高校(大分市)卒業後、芸術家を目指し上京。同作を作るまで「映画はもっぱら見る側」で、アニメーションを芸術表現として取り入れる発想は全くなかったと振り返る。

 「転機は新海誠さんの『ほしのこえ』という作品。ほぼ1人で制作したという話を聞き、CGアニメは無理だが、人形をパラパラ漫画のように撮影する方法なら自分にもアニメ制作ができるのではと考えた」。2009(平成21)年から、「JUNK HEAD」前半部分に当たる30分の短編「JUNK HEAD 1」を4年掛けて独学で作り上げた。

 旧ソ連のカルト映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」を大好きな作品に挙げる堀さん。長編アニメーション作品を完成させた原動力には、「自分が見たい映画を作りたいという思いがあった」とも。短編制作時は当時本業としていたアートワークの仕事を月1週間程度に抑え、仕事場を撮影スタジオにして作品作りに打ち込んだという。

 作品には、「生きることとは食べること」という堀さん自身の思想も投影した。「遺伝子操作で永遠の命を手に入れるという限りない欲を持った人類と、泥臭いやりとりをしながら生き生き暮らす地下のマリガンたち。どちらが人間らしいのか、何をもって人間とするのかという視点でも見てもらえれば」と呼び掛ける。

 イベントは6月上旬の上映開始を前に行われたもので、配給会社や同館など関係者が企画した。カナダ「ファンタジア国際映画祭」など海外の映画祭で高評価を得た同作品を一足早く目にしたいと、早朝から雨の続く天候の中、約70人の映画ファンが駆け付けた。

 舞台あいさつでは同館の根岸佳代支配人の進行の下、堀さんがメイキング映像を交えながら制作エピソードを紹介した。質疑応答の時間も設けられ、続編の構想についての質問や、キャラクター展を希望する声などが寄せられた。

 同館での上映は6月5日~18日。

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