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福井の写真家が作品集 「今しかない景色」200点、アニメ風の表現で展開

同書の表紙。「遠くからでも分かるような表紙にしたくて、インパクトのある写真を選んだ。お気に入りの1枚」とAkine Cocoさん

同書の表紙。「遠くからでも分かるような表紙にしたくて、インパクトのある写真を選んだ。お気に入りの1枚」とAkine Cocoさん

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 福井市在住の写真家「Akine Coco」さんの作品集「アニメのワンシーンのように。」が2月24日、芸術新聞社(東京都千代田区)から発売される。

昨年6月、40万人以上が「いいね」で反応した作品のうちの1枚。えちぜん鉄道の車両を広角アングルで撮影した

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 「夏の記憶を巡る」「夕暮れの魔法」「秋風に吹かれて」など全5章の構成で、「写真でアニメチックな世界を表現すること」をテーマにした作品約200点を収録する。大半は福井の集落や街なかのスナップ写真をアニメのワンシーンのように仕上げた作品で、創作の秘密に迫る50題のQ&Aも掲載する。

 Akine Cocoさんが本格的にカメラを扱うようになったのは2019年6月。発表の場としたツイッターには当初、テーマを決めず投稿していたが、昨年6月、アニメ風の作品4点をツイートしたところ40万人以上が「いいね」で反応した。これをきっかけにフォロワーが急増し、現在、ツイッターとインスタグラム合わせて国内外延べ約20万人がAkine Cocoさんの作品を見ている。

 撮影当初は県外へも「遠征」していたが、コロナ禍で往来が制限されたのを機に何気ない日常の景色に目が向くようになった。「風景写真と言っても綿密にプランを練って構えるのでなく、表現のベースはあくまでスナップ写真。出掛ける時はいつも一眼レフが一緒で、『今しかない景色』に出合ったら車を降りて周辺を歩いて回ってみる。私にとって、歩くという行為は撮影において重要な要素」と話す。

 アニメが好きで、映画「君の名は。」「天気の子」などを手掛けた映画監督・新海誠さんの影響も受けているというが、「一見アニメのようで、拡大したら現実を切り取った写真だったと分かるような『2.5次元』の仕上がりを心掛けている」とも。仕上げに当たり現像ソフトのプリセット機能は使わず、作業は「毎回が試行錯誤」という。

 以前は地元福井についてネガティブに捉えることもしばしばだったが、身近な日常をスナップするようになって以降、「福井もまんざら悪くないな」と感じるようになった。「『福井には何もない』とはよく言われることだが、福井には『何もない』ということが存在する。情報過多な都会にはない魅力だと気付けた」

 発売告知のツイートには海外のフォロワーからも祝福のコメントが寄せられる。「バズらせたいという欲からではなく、純粋に好きで始めた作風を多くの人に評価してもらえたことがうれしい」。作曲が趣味だというAkine Cocoさん。ゆくゆくは自作曲と写真を組み合わせた表現にも取り組みたいとプランを描く。

 仕様はB5判、144ページ。価格は2,500円(税別)。

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