福井市の養浩館庭園(宝永3)で10月1日、染色作家・玉村咏さんの展覧会「水~揺らぐ色香」が開催される。
玉村さんは1947(昭和22)年福井市生まれ。染色を独学で学び、1983(昭和58)年に染色工房「アトリエ攸(ゆう)」を設立した。京染めの伝統を受け継ぎ、着物、帯、インテリア、タペストリー、びょうぶ、ファイバーアートなどを制作している。
展覧会では庭園と数寄屋造りの建物を会場に、帯、着物、小物など約70点を展示する。作品は全て一点物の手描き染色で、発想、デザイン、最終工程まで、10余りに分かれる工程をアトリエ内で一貫して行っているという。
同園は玉村さんが生まれ育った場所の近くにあり、同園での展覧会開催はかねて掲げていた大きな目標だったという。「『地元で最後』をうたった昨年の展覧会の後、地元の人から『養浩館庭園で開催しては』と声をかけられ、親戚の玉村伸さんたちの協力で実行委員会が立ち上がった」(玉村さん)
施設を管理する福井市によると、同園は福井藩松平家の別邸でかつては「御泉水(おせんすい)屋敷」と呼ばれていた。玉村さんは自身のアトリエ名を引き合いに、「攸という名には水がゆったりと静かに流れる様子も込めている。『水~揺らぐ色香』という制作主題が生まれたのも必然だったと思う」と話す。
染色を始めて55年。手がけてきた作品群について、「着物は身に着けて初めて生きる物。インテリア作品は人を心地よくするための物。創作を通して、私は何よりも人が好きだということが分かった」と振り返る。
同園は市中心部にある国の名勝で、総面積約9500平方メートル。米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」が日本国内の庭園を対象に選ぶ2025年のランキングで9位に選ばれ、19年連続でトップ10入りしている。
開催時間は9時~19時(入園は18時30分まで)。入園料は220円(中学生以下、70歳以上無料)。10月7日まで。