福井県産業情報センター(坂井市丸岡町)で9月5日・6日、舞台「赤鬼」が上演される。
劇作家・演出家の野田秀樹さんによる1996(平成8)年初演の作品で、福井を拠点に活動する演劇ユニット「さよならキャンプ」が第5回公演として上演する。同ユニットが既成戯曲を上演するのは初めて。物語は、村の浜辺に流れ着いた「赤鬼」と村人たちを巡って展開し、コミュニティーにおける差別や排除、分断などを描く。
同ユニット主宰で演出を手がける沼畑真さんは「この数年、演劇を見たことがない人に舞台の魅力を届ける活動に重心を置いてきた。重いテーマを扱いながらエンターテインメント性もある『赤鬼』はこれぞ演劇という作品で、福井でもこうした作品が上演できるということを示したいと考えた」と話す。
制作は昨冬に始まり、今年1月から稽古を続けてきた。同ユニット制作担当で、作品では「あの女」役を務める山田志穗さんによると、台本が決まった状態を起点としてこれまでの公演で最も長い準備期間になるという。
沼畑さんも「上演に当たり舞台を客席が囲む全方位型の構成を想定した。舞台転換などを作り込む時間も確保しようと考え、早い時期から稽古を始めた」と説明する。
会場選びでも全方位型の舞台を組めることを重視し、IT関連イベントなどが行われることが多いという同センターのマルチホールを選んだ。「このホールでの演劇上演は初めてと聞いた。舞台を囲んで客席を設けられる床面の広さに加え、床やシートが赤色だったことも『赤鬼』にふさわしいと感じた」と山田さん。
上演に当たって、太鼓や砂利を入れた筒などによる生音を効果音にしたり、役者の動きに合わせた映像を組み合わせたりするなどの演出を施す。客席と舞台の距離を近づけることで対面する観客の表情が見えるような工夫も凝らすといい、山田さんは「お客さん自身も空間の一部になる作品になる」と話す。
作品には、沼畑さん、山田さんに加え、福井の演劇プロジェクトチーム「ZAN-Project.」所属の田所龍臣さん、フリー俳優の四折貴之さんが客演として出演する。
田所さんは「8年前、沼畑さんが手がけた『赤鬼』を見たことがある。その時の舞台とは違う新たな形を見せられたら」、四折さんは「演劇関係者なら一度は耳にしたことのあるタイトルでは。同じ作品がどう演出され、どう演じられるかを見てもらえれば」と呼びかける。
開演は、5日=19時、6日=14時。料金は、一般前売り=2,000円、一般当日=2,500円、18歳以下=1,000円。