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福井の「メトロ劇場」が開館70年記念券販売へ 硬券仕様で鉄道好きにも訴求

「鉄道ファンの方にも注目してもらえれば」と、記念入場券を手にする根岸さん

「鉄道ファンの方にも注目してもらえれば」と、記念入場券を手にする根岸さん

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 福井市の映画館「メトロ劇場」(順化1)が9月上旬、開館70年を記念した入場券の販売を始める。

「D型券」と呼ばれる規格で作られた入場券。裏面には「本券はご鑑賞の思い出と共にお持ち帰りください」のメッセージが添えられている

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 鉄道の切符などに使われる硬券仕様で、関東交通印刷(千葉県銚子市)の協力を得て製作。大きさは、縦3センチ、横8.8センチ。同館の招待券などにあしらわれる天使をモチーフにした絵や建物外壁の格子模様などを表面に、「福井メトロ劇場」のロゴとシリアルナンバーを裏面に印刷した。

 同館ではかねて、縦約4センチ、横8.9センチの票券にゴム印で金額を押して入場券として使っていた。しかし6月下旬、取引先から同館に票券の製造中止が伝えられた。

 途方に暮れた館主の根岸輝尚さんが「これからどうしよう…」と同館のX(旧ツイッター)アカウントで投稿したところフォロワーが反応。その中の一つに、関東交通印刷を紹介するコメントがあった。

 現在も35ミリフィルム映写機が稼働する同館。根岸さんは「関東交通印刷さんは古き良き鉄道文化を今に伝える硬券を現在も手がける印刷会社。フィルム文化を守るべく映写機を稼働させる当館と相通じる思いがあると考え、硬券入場券製作を決めた」と振り返る。

 関東交通印刷の藤本昌弘社長は「招待券の絵柄を地紋に盛り込むなど、映画ファン、鉄道ファンのどちらにも満足してもらえる作りにした。当社調べの範囲だが、平成以降、硬券の映画館入場券という事例はないのでは。映画鑑賞の記念として保存した硬券が将来、当時の思い出を蘇らせるきっかけとなれば」と話す。

 販売開始は9月2日。額面は1,000円~1,800円の6種で、シリアルナンバーの指定はできない。在庫がなくなり次第販売を終了し、その後の運用については現在検討中という。

 同館は1953(昭和28)年4月、前身である「日本劇場」の経営を引き継いでオープン。現在の建物は1971(昭和46)年に完成し、客席、ロビー、音響設備などのリニューアルを重ねている。

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