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福井で「ムラタクン」の常設展-アール・ブリュット展入選作家が展示

同社オフィスの一角にロボット約50点を展示

同社オフィスの一角にロボット約50点を展示

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 福井市の編集プロダクション「カウベル・コーポレーション」(福井市二の宮5、TEL 0776-25-0563)で、美術作家「ムラタクン」の作品常設展が始まった。

フリーハンドで展開図を描くムラタクン。1体ずつに名前やストーリーがあるという

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 ムラタクンは福井県坂井市在住の高校1年生。小学2年生の時に既製のペーパークラフトを作ったのを機に、オリジナルのペーパーロボット制作にのめりこんだという。2010年には旧森田銀行本店(福井県坂井市)で初個展「ムラタクン 星空のロボット クリスマスツリー展」を開き、約500点の作品で会場を埋め尽くした。

 下絵を一切描かず制作するのが特徴。主にカレンダーやポスターの裏に、市販のマーカーを使いフリーハンドで展開図を描く。「設計図を使わないのは、同じロボットを作ることに興味がないから」とムラタクン。紙は光沢のあるコート紙、紙を貼り合わせるためのテープやマーカーはメーカーを指定し材料にもこだわるという。

 常設展示は、昨年10月に福井市で開かれた「フクイ夢アート2014」での展示がきっかけ。立案に関わったNPO法人「福井芸術・文化フォーラム」(福井市春山2)の荒川裕子さんは、「初めて作品を目にした時の感動が忘れられず、多くの人に見てほしいと『夢アート』出展を提案した経緯がある。このまま物置に眠ってしまうのは惜しく、ムラタクンの作品が映える展示空間を探していた」と話す。

 ムラタクンの作品は、現在開催中の公募展「アール・ブリュット☆アート☆日本2」(滋賀県近江八幡市)でも展示中。アール・ブリュットとは「加工されていない、生(なま・き)のままの芸術」を意味するフランス語。正規の美術教育・指導を受けてない人が作るアートとしても定義され、障がいを抱えるアーティストの芸術も含まれる。

 母の村田康代さんは「坂井市の古民家で展示をした時、来場者との話からアール・ブリュットの存在を知った。公募展への応募は夫(=伊智郎さん)が熱心で、審査書類と共に40点ほどの作品を送った」と話す。全国から2265人の応募があった中、生活に溶け込んだ身近な物を使ったことが評価され入選に結び付いたという。

 「木工や陶芸、ブロックを積んで自分の世界を作るゲーム『マインクラフト』などにも興味がある」とムラタクン。指導に当たる福井大教育地域科学部附属特別支援学校の酒井晴美さんは、「美術展などの機会を通じて多くの人と触れ合うことが本人の生きがいにつながれば。今は余暇の範囲のロボット制作が、生活の糧と重なるよう応援していきたい」とエールを送る。

 開催時間は10時~18時。入場無料。

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