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福井のフォトグラファーが作品集 地元舞台に、青春のきらめき色鮮やかに

作品集の表紙。福井市内で撮影した写真を採用した

作品集の表紙。福井市内で撮影した写真を採用した

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 福井市在住のフォトグラファー「tomosaki」さんの作品集「あの頃にみた青は、」が8月31日、KADOKAWA(東京都千代田区)から発売される。

福井市にある愛宕坂(あたござか)で撮影した作品。ツイッターでの投稿には「夜風があの頃の思い出を運んでくる」とキャプションを付けた

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 ツイッターとインスタグラム合わせて約36万人のフォロワーがいるtomosakiさん初の作品集。「青春写真」をテーマにした、「Chapter 1 AM08:00」から「Chapter 5 PM08:00」の5章立てで構成し、福井の街角や田園風景などを舞台に撮影した作品、初発表の作品など150点以上を収録する。

 tomosakiさんが本格的に撮影を始めたのは2020年春。当時在籍していた看護学校がコロナ禍で臨時休校となり、空き時間が増えたのを機に作品作りに力を入れるようになった。5月中旬、初めてツイッターに投稿したのは、福井の田園風景の中でギターを背負った友人を撮影した写真。tomosakiさんが大好きだという星野源さんにちなみ、SNSのアカウントは「photono_gen」とした。

 アニメのような仕上がりで福井の風景写真を表現する同郷のフォトグラファー「Akine Coco」さんの活動も刺激になった。「Akine Cocoさんの作品には何気ない日常の尊さがあふれている。コロナ禍で日常が失われたことで、私も当たり前の暮らしにあるキラキラした輝きに気付けた」。ファインダー越しに見る福井の素晴らしさに感動し、県外就職の意思を翻して地元にとどまることを決めたという。

 「カメラを手にすることで、コロナ禍でもキラキラした日常を取り戻すことができた。もしかしたら、写真に撮られることで輝きの時を取り戻せる人たちもいるのでは」と、同世代の学生たちに向けSNSで撮影モデルの協力も呼びかけた。すぐさま、県内外の10組以上が青春の一瞬を写真に残したいと呼びかけに応じた。

 これまでtomosakiさんが投稿してきた写真は、放課後の帰り道のワンシーンを想像させるようなショットが多い。作品は組み写真で投稿することがほとんどで、好きなアーティストの歌詞から写真のストーリーやキャプションなどを着想するという。

 「作品に物語性を込めるのが好きで、見る人が感情移入しやすいよう、写真の中に人を配置することを心がけている。写真は撮る人の心を映し出す鏡のようなもので、私自身も心のどこかに『あの頃に戻りたい』という思いがあるのかもしれない」とtomosakiさんは話す。

 投稿を続けるうち、写真の作風が彩度の高い表現へと変化した。背景には、公開当時5回も見に行ったという映画「君の名は。」や、富山出身の細田守さんが手がけた映画「サマーウォーズ」などアニメ作品の影響に加え、「思い出補正」というキーワードがある。

 「青春時代の思い出のように、強く記憶に残っている出来事は実際の色彩以上に鮮やかによみがえってくる。そうした『思い出補正』を表現しようと試行錯誤するうち、今のような作風にたどり着いた」。フォロワーからも「キラキラした甘酸っぱさを感じる」「こんな田舎に住んでみたい」とコメントが寄せられるという。

 約1年かけたという編集者との共同作業を通じて、「福井にある『当たり前』の良さを改めて感じた」と振り返るtomosakiさん。「写真を撮り始めるまで『福井には何も魅力がない』と思っていた。同じような思いを抱く人に作品集を手に取ってもらい、撮影地巡りなど地元の良さの再発見につなげてもらえれば」と呼びかける。

 仕様はB5判、128ページ。価格は2,300円(税別)。

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