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福井で「秀の間 樹の眼」展 地酒「黒龍」に挑むクリエーター2人、100点展示

「幽玄の酒造り」をテーマにした、たとりさんの展示作品より

「幽玄の酒造り」をテーマにした、たとりさんの展示作品より

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 展覧会「秀の間 樹の眼(め)」が2月10日、福井市美術館(福井市下馬3)で始まる。

会場レイアウトを打ち合わせ中のたとりさん(左)、西畑さん(右)。「自分一人の発想では作れない展示空間になる」と、たとりさん

 仁愛女子短大教授でデザインディレクターの西畑敏秀さん(坂井市在住)と、写真家の「たとり直樹」さん(福井市在住)による展覧会。「黒龍に出会ったふたり、その挑戦のあゆみ。」と題し、福井の「黒龍酒造」(永平寺町)の広告や、蔵に関係する写真などを展示する。タイトルは、日本文化に息づく間合いを重んじる西畑さん、枯淡の美を追求するたとりさん、両者の名前に由来する。

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 同館2階展示室をゾーン分けし、2人が手掛けた作品約100点を展示する。西畑さんのゾーンでは、「蔵元案内」と名付けたパンフレット、間合いを重視した新聞広告、十数種類の明朝(みんちょう)体を用いて制作した同展フライヤーの解説パネルなどを展示。たとりさんは、酒造りの様子を縦位置のアングルで捉えた「幽玄の酒造り」など、幽玄をテーマにした3つのコーナーを展開する。

 西畑さんと同社との関わりは2003(平成15)年、純米大吟醸生酒「火いら寿(ひいらず)」のパッケージデザインの相談を受けたのがきっかけだった。「酒をたしなまない私にとって、黒龍はいわば『正体が知れない』といった存在だった。入社試験のような気持ちでプレゼンテーション資料制作に取り組んだ」と振り返る。

 たとりさんは同年、地元情報誌の取材で蔵に入ったのが同社と関わるようになったきっかけという。「振り返れば自身の立ち位置に一番迷いがあった時期の仕事で、写真を見せたときの先代(第7代蔵元の故・水野正人さん)にも『自身が納得できていない程度の写真』と見透かされてしまった」。蔵での撮影を商売抜きで志願し、2007(平成19)年、継続取材で撮りためた写真を基に初個展を開いた。

 2人は現在、社員が編集を手掛ける広報誌「永(とこしえ)」の制作でもチームを組む。「明朝体を多用し間合いを重視する『黒龍』のグラフィックデザインが、今の私のスタイルを確立してくれた」と西畑さん。たとりさんも同誌の表紙を引き合いに、「幽玄をテーマに撮影を続けた福井の山河が、商業写真としてどのように形を変えているかも見ていただければ」と呼び掛ける。

 開館時間は9時~17時(最終日は16時まで)。入場無料。2月14日まで。