企画展「美意識という道標。松山光明展」が1月30日から、福井市美術館(福井市下馬3)で行われる。
生前の松山さん。福井駅ステーションビル意匠部への就職がデザイナーとしての第一歩だったという
昨年亡くなった福井出身のグラフィックデザイナー・松山光明さんの回顧展で、福井県デザイナー協会会長の西畑敏秀さんらでつくる実行委員会が準備を進めた。同館2階の市民ギャラリーに、松山さんが手掛けたポスター、シルクスクリーンの平面作品、仕事で使った愛用品など約80点を展示する。
松山さんは1929(昭和4)年福井市生まれ。高校卒業後デザインの道に進み、劇団「福井自由舞台」の舞台美術を手掛けたのを機に上京して河野鷹思に師事。亀倉雄策、福田繁雄、田中一光らとも親交を深め、帰郷後の1957(昭和32)年に福井デザインクラブを設立した。
福井県産業デザイン協会の設立、福井県総合美術展の商業美術部門創設などにも取り組んだ松山さん。西畑さんは「デザインが商業美術と呼ばれていた時代、帰郷した松山さんは職業人としていち早く『デザイナー』を名乗り活動を始めた。まさに、福井におけるデザイナーの草分け的存在だった」と解説する。
会場には、1968(昭和43)年福井国体、同炬火(きょか)リレー、越前朝倉薪能(たきぎのう)、福井県置県100年、福井市制100年など、松山さんが昭和30年代から平成にかけて手掛けたポスターも並ぶ。大きく配置した写真と簡潔な文字情報で構成した同国体のポスター群からは、亀倉雄策が手掛けた1964(昭和39)年東京五輪ポスターの影響もうかがえる。
松山さんは生前、人間愛という観点から「美意識」を持つことの大切さを提唱し続けてきたという。西畑さんは開催に当たり、「松山さんが説いた美意識の神髄を感じられる展覧会。デザイン業界に直接関わってない方にも、福井の歴史を商業美術という側面で振り返りながら鑑賞してもらえれば」と呼び掛ける。
関連イベントとして2月1日15時から、同館2階のカフェ「ヴェルデ」で松山さんの思い出を語り合うメモリアルパーティーを行う。参加無料。
開館時間は9時~17時15分(最終日は16時まで)。入場無料。月曜休館。2月5日まで。