展覧会「弁造さんのエスキース展 ~今日も完成しない絵を描いて」が2月8日から、福井駅西にある書店「わおん書房」(福井市中央1)で行われる。
会場では、奥山さんのサインが入った私家版「庭とエスキース」ブックレットも販売する。仕様は、B4判変型、40ページ。価格は2,200円
北海道新十津川町生まれで2012(平成24)年に亡くなった井上弁造さんが描いたエスキース(未完成絵画)の展覧会。丸太小屋で暮らす井上さんを14年間撮影し、写文集「庭とエスキース」(みすず書房刊)などにまとめた写真家・奥山淳志さん(岩手県雫石町在住)ら関係者が企画した。北陸での開催は今回が初めて。
井上さんは小屋の周りの庭を絵画のように造り上げ、自給自足の生活を送りながらイーゼルと向き合った。女性や子どもをモチーフに、ベニヤ板、画用紙、包装紙などに油彩画やドローイングを書き続けたが、井上さん自身が「完成」とした作品は1枚だけだったという。
展覧会では、井上さんが描いたエスキースや奥山さんの写真などを展示する予定。店主の廣部貴子さんは「高度成長期の発展の速さに疑問を呈し自給自足生活を始めたという、弁造さんの生き方に心を奪われた。絵画のような装丁も美しかった」と読後を振り返り、「東京の書店で出版記念展覧会が行われていることを知り、いつか当店でも開催できればと思っていた」と話す。
2月8日14時から、奥山さんを招いたトーク&スライドショーを行う。「弁造さんは一度も個展を開くことなく亡くなった。奥山さんが各地に出向いているのは、弁造さんの絵を一人でも多くの人に見てほしいという思いからでは。トークショーを入り口に『庭とエスキース』に触れ、大自然の中で筆を動かした弁造さんの姿に思いを巡らせてもらえれば」と呼び掛ける。
営業時間は11時~19時。火曜・水曜定休。入場無料(トークショーは1,000円、定員20人)。2月24日まで。