福井の「ホリタ書店」閉店 文教地区の書店、43年の歴史に幕

最終営業日の同店。「福経」スタッフも、最後の記念に「書店ガール」を購入した

最終営業日の同店。「福経」スタッフも、最後の記念に「書店ガール」を購入した

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 福井市の「ホリタ書店」(福井市文京3)が7月29日、閉店した。

創業者の堀田利直さん。1982(昭和57)年に鉄筋3階建てで全面リニューアルした同店前で

 同店を運営した文具販売の「ホリタ」(大願寺3)によると、1950(昭和25)年に田原町駅(田原1)近くの田原町商店街で創業した「堀田文具店」が源流。1973(昭和48)年、文具店が同商店街通り東側に新築移転したのに合わせ、新規事業として書店を手掛けるようになったという。

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 創業者の堀田利直さん・喜代子さん夫妻と共に開店準備に携わった堀田惠美(めぐみ)前社長は「文具と違い、本の流通には出版取次(とりつぎ)や再販制度など独特の商慣習がありずいぶん戸惑った。配本においても今より版元の力が強い時代で、都内の出版社を訪ね歩いて配本の交渉も重ねた」と振り返る。

 同店周辺は、半径500メートル圏内に春山小・明道中・藤島高・北陸高・福井大などが集中する「文教地区」。企業の社宅や公務員宿舎などもあり「学習参考書や文芸書がよく売れた。団塊世代が社会に出始めた時期とも重なった」。1970年代前半生まれの「団塊ジュニア世代」が来店客に加わり始めた1980年代中ごろからは、コミックの売り上げも柱の一つになった。

 客層に変化の兆しが見えたのは15年ほど前。きっかけは、2000年12月と2001年6月に起きた京福電鉄(現・えちぜん鉄道)越前本線の列車衝突事故だった。国交省から列車運行全面停止の処分を受け、バス代行への移行に伴い同駅利用の生徒・学生数は大きく減少。2003年のえちぜん鉄道開業まで、同商店街そのものの客足にも影響を及ぼしたという。

 それでも、堀田前社長は「商売は後ろ向きでは駄目。失敗しても攻める姿勢でなければ」と2001年に店舗を改装。出版取次業界の再編や中小書店の廃業などが相次ぐ中で文教地区の書店として駆け抜けた。「これで文具店・書店とも商店街での営業を辞めることになる。地元の方には心苦しい思いでいっぱいだが、2代目として『やるだけのことはやった』という達成感もある」と話す。

 福井市内・坂井市内にある文具店3店舗のかじ取りを任された3代目・堀田敏史社長は「今まで支えてくださった方たちのためにも閉店を大きなバネにしたい。『ホリタ書店』の空いたスペースは、会社としての機能を必ず残す。『創業の地』を大事にしないとバチが当たる」などとブログにつづった。

 堀田社長は文具を「文化を支える道具」と定義し、本も文具の一つとして位置付けていく意向を示す。「当社が得意とする文具や、今後の強化を予定する『文具寄りの雑貨』との融合を進めていく。文具店と書店という関係でなく、文具の周りに関連書籍があるというような提案型店舗を確立したい。本は当社にとって無くてはならない文具であり、強力な武器になる」と力を込める。