福井でアートディレクター森本千絵さん講演会 学生にエール、朝ドラMVも紹介

「質問を受け急きょ発掘した」という写真を見せ、自身の卒業制作の裏話を話す森本さん

「質問を受け急きょ発掘した」という写真を見せ、自身の卒業制作の裏話を話す森本さん

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 福井市美術館(福井市下馬3)で2月12日、コミュニケーションディレクター・アートディレクターの森本千絵さんの講演会が行われた。

同展会場での講評会も。森本さんはフェイスブックに「恐竜博物館も恐竜だらけだが福井の学生も恐竜並みにたくましい」とつづった

 森本さんは1976(昭和51)年、青森県三沢市生まれ。武蔵野美術大卒業後、博報堂を経てデザイン事務所「goen°(ゴエン)」(東京都渋谷区)を設立。キヤノンやオンワード樫山などの企業広告、映画・舞台の美術、動物園や保育園の空間ディレクションなどを手掛け、最近ではNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」主題歌「ヒカリノアトリエ」(Mr.Children)のアートワークに携わった。

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 講演会は、福井工業大(福井市学園3)デザイン学科が卒業制作展の一環として企画。会場の同館2階「市民アトリエ」には同学科の教員・学生、SNSやフライヤーなどでイベントを知ったという一般受講者など190人が詰め掛け、会場後方では立ち見の姿も見られた。

 拍手で迎えられた森本さんは「福井の空気がすごく気持ち良い。いつも混沌(こんとん)とした雰囲気で仕事をしているので」とユーモア交じりに講演をスタート。より充実した内容になるようにと、事前に学生が寄せた質問を基に急きょ構成を組み替え「学生時代の卒業制作」や「毎日欠かさずやっていること」など一問一答形式で話を進めた。

 「CGでなく実写映像にこだわる理由」という質問には「合成を前提にグリーンバックで撮影すると出演者のリアルな表情が引き出せない。人と人との摩擦の中から生まれるものづくりが好きで、卒業制作に熱中した学生時代のころと気持ちは変わらない」と回答。キャストのストックを増やすため「旅先で出会った人の顔でさえ覚えるようにしている」とも話し、受講者の笑いを誘った。

 後半には「goen°」の由来となるエピソードもあった。「今までに一番影響を受けたのは、博報堂時代に仕事で出会った金沢在住のおばあちゃん。自分の仕事を説明したところ『あなたの仕事はご縁をつくることなのね』と言われ目が覚めた。広告は消費される性質を持ってはいるが、縁をつくることと捉えればまだまだ仕事は続けられると考え独立を決めた」と明かした。

 「私にとって福井と言えばこの人」と、福井出身の映像ディレクター・牧野惇さんが手掛けた「ヒカリノアトリエ」のミュージックビデオも紹介した後「私自身、迷った時には明るいと思われる方向を選んできた」と自身の生き方を示した森本さん。会場の学生に「学生時代はいっぱい遊んで、叱られて、摩擦を起こしてほしい。未来の自分に話したくなるエピソードをたくさんつくって」とエールを送った。

 同展は例年この時期に行われており、今年は「結ぶ」をテーマに卒業制作や卒業論文、コンテスト入賞作など55点を展示。来場者が感想をおみくじ状に結び付ける仕掛けもあり、受付で手渡された短冊にコメントを書き込む姿も多く見受けられた。

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