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福井・美浜で食育イベント「猟師さんと過ごす一日」 命の連鎖、実地で学ぶ

参加者を交えて解体体験を行う様子

参加者を交えて解体体験を行う様子

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 福井県美浜町で2月5日、食育イベント「猟師さんと過ごす一日」が行われた。

高浜町在住で、猟師と美容師の資格を持つ児玉千明さんから「くくりわな」のレクチャーを受ける参加者

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 NPO法人「自然と共に生きる会サンガ」(美浜町新庄)と林業女子会「やまめの会」の共催で今回が4回目。実際に猟師生活を体験することで、イノシシやシカなどの動物との関わりや「食とは他の生き物の命を頂くこと」という命の連鎖を学んでもらおうと企画した。

 同日9時30分からのイベントには町内外から12人が参加。同町内の「新庄やまびこセンター」(同)で、美浜町農林水産課の中瀬豪規さんから町内における害獣被害の説明を受けた後、「わなにかかったばかり」という野生のシカにとどめを刺す「止め刺し」を行うため町内の山中に移動した。

 猟師が止め刺ししたシカ2頭は近くの淡水魚養殖施設「渓流の里」(同)に運び込まれ、同NPOの中村俊彦さんや福井県嶺南地方で活動する若手猟師たちに解体された。参加者の中には猟師を目指すという人もいて、解体の様子を食い入るように見つめた。ナイフによる皮剥ぎ体験もあり、刃を入れる角度や力加減などのこつを聞きながら剥ぐ様子も見受けられた。

 ジビエを使った料理もあり、若狭町在住のシンガーで料理家の藤本よしこさんによる「イノシシ肉のピラフ」と「シカ肉のコンフィー」が振る舞われた。

 藤本さんは「コンフィーは風味付けにジュニパーベリーを使い、ピラフは肉とゴボウを合わせた。シカ肉は脂身が無く高温で加熱すると硬くなるため、コンフィーにしてしっとりジューシーに仕上げた」と解説。黒こしょうとニンニクを効かせたピラフも人気で、何度もお代わりする参加者の姿もあった。

 敦賀市から参加した上塚千夏さんは「自宅のある地区が野生動物の食害に遭っており、何とかしたいという思いから狩猟に興味を持った。今回が2回目の参加で、解体の様子も魚をさばくのを見るように落ち着いて観察できた。7月の狩猟免許試験に向け準備の最中」と話した。

 中村さんは「猟師の世界も高齢化が進んでいるが『森の番人』として必要不可欠な存在。猟師がいることで人間と山の動物との生活のバランスを保つことができる。私たちのイベントに参加して、狩猟の世界に興味を持ってもらえれば」と呼び掛ける。

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