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野生獣捕獲装置「亥(とざす)」 福井の企業、プログラミング学習用PCで

同商品の内部構造を説明する谷川さん

同商品の内部構造を説明する谷川さん

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 福井市のIT企業「ナチュラルスタイル」(福井市和田東1、TEL 0776-58-3380)が4月1日、野生獣捕獲装置「亥(とざす)」の販売を始めた。

同商品一式。同クラブ旗艦店「PCN フラッグシップ秋葉原 BY ASSEMBLAGE」(東京都千代田区)では、外国人観光客の関心も高いという

 大きさは、縦16センチ・横23.6センチ・高さ12センチ。重さは約850グラム(電池除く)。動体センサーや距離センサーなどを搭載し、単3電池8本で動作する。市販の捕獲用おりと組み合わせることで、イノシシ、シカ、サル、タヌキ、アナグマ、アライグマ、ハクビシンなど、中~大型獣の捕獲を可能にする。

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 開発に当たったのは、福井県勝山市のIT企業「地理情報センター」(勝山市片瀬町1)社長の谷川一男さん。日ごろ農作物の獣害に悩まされていたことから、昨年5月、「勝山市ものづくり技術・研究開発支援事業」の認定を受け、ITを活用した装置の開発に取り掛かった。

 しかし、捕獲用おりの扉を閉めるハードウエア・ソフトウエアの開発に難航。「農家の一人として、とにかく獣害を無くしたい思いで取り掛かったが、あるメーカーに開発費を見積もってもらったら、とても農家に普及しそうにない金額が返ってきた」

 窮地を救ったのが、県内のIT企業有志でつくる団体「プログラミング クラブ ネットワーク」(PCN)主催の子ども向け講座「PCN勝山」だった。「当社が入居するビルが講座の会場で興味半分にのぞいてみた」ところ、福井発のプログラミング学習用パソコン「IchigoJam」に出合い、同講座で子どもたちに交じり制御ソフトを作ることにした。

 ソフトはプログラミング言語「BASIC」で書かれており、実質わずか7行。「プログラムよりも省電力化に苦労した。距離センサーだけでは消費電力量が大きく、電池が3日ほどしか持たなかった」。動体センサーと組み合わせて通電時間を細かく制御し、駆動時間を最短約3カ月まで伸ばすことができた。

 昨年11月から12月にかけ、猟友会の仲間に呼び掛けて試作機5台での捕獲テストを行ったところ、イノシシ、ハクビシン、アナグマなど9頭の捕獲に成功した。今年1月31日に行われた「勝山年の市」の展示でも注目を集め、用意していたフライヤー100枚が無くなるほどの反響を得たという。

 販売開始以来すでに21セットを出荷し、初年度50セットの販売を目指す。「IchigoJamで開発したことで、相場の2分の1から3分の1という販売価格を実現できた。捕獲実績が口コミで広がり、さらなる普及につながれば」と谷川さん。ナチュラルスタイルの齋藤万優子さんも「今後、IchigoJamを応用した商品が次々と出ることに期待したい。いいアイデアがあれば相談を」と呼び掛ける。

 価格は3万2,400円(おりは別途)。同クラブホームページで販売する。

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