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越前市発のゲーム、世界的パッケージデザイン賞受賞 地元デザイナー、和の要素全面に

商品のパッケージ。越前市にある増田紙器工業(北府2)が箱を製造した

商品のパッケージ。越前市にある増田紙器工業(北府2)が箱を製造した

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 越前市発のボードゲーム「ZENタイル」が9月、世界的パッケージコンテスト「Pentawards(ペントアワード) 2022」の公式栄誉賞を受賞した。

受賞レセプションで制作メンバーの写真と共にカメラに収まるaiMIKIさん。「来場者がすてきな人ばかりで、個性の束のような空間だった」と振り返る

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 「ZENタイル」は、福井のボードゲーム愛好者グループ「ちゃがちゃがゲームズ」代表で、同市在住の川口洋一郎さんが考案。碁石を使って自分の気持ちを「見える化」することで簡単な禅体験ができるというゲームで、1人用の「ソロ」と、4人まで遊べる「ベーシック」の2種類で展開し、2020年春の発売以降、計約3000個を販売している。

 パッケージデザインを、グループメンバーで同市在住のデザイナー・aiMIKIさんが手がけた。開発を始めたのは2019年11月ごろで、aiMIKIさんは「川口さんにプロトタイプを見せてもらい、ゲームのコンセプトがしっかりしていることに感心した。名前も最初から決まっており、和のテイストを全面的に取り入れたスタイリッシュなデザインが思い浮かんだ」と振り返る。

 日本語版の開発を進める過程で海外展開も意識するようになったといい、クラウドファンディングサイト「キックスターター」で寄付を募ったところ、目標の1300%となる約330万円が寄せられた。aiMIKIさんによると、クラウドファンディング展開のために作った英語のウェブサイトが応募へのきっかけになったという。

 コンテストは2年に1回行われ、主催者によると今回は60カ国から2000点の応募があった。過去2年間に市販された商品がエントリー対象で、「応募に当たっては、コンセプトなどを記した書類、英語のウェブサイト、クオリティーの高い写真などが必要でエントリーのハードルがとにかく高い」とaiMIKIさん。

 同ゲームのパッケージはエンターテインメント&レジャー部門8作品の一つとして選定され、9月23日、英ロンドンで授賞式が行われた。aiMIKIさんは受賞の決め手について「コンセプトとインパクト」と自己分析し、「『絶対、この場にまた戻ってきたい』という高揚感でいっぱいだった」と受賞レセプションを振り返る。

 日本からはこれまで、サントリー、資生堂、ポーラ化粧品などの大手企業が受賞している同コンテスト。川口さんは「予算の限られた同人ゲームが世界的コンテストにエントリーするのは、いわば草野球チームがオリンピックに挑むようなもの。デザイン、箱の製造、部品の組み立て、写真撮影など越前市の人たちの手による『メード・イン・越前市』の商品が入賞したのは奇跡」と興奮気味に話す。

 市内にある武生東高を卒業後、米ニューヨークの美術大学やデザイン会社などを経たキャリアを持つaiMIKIさんは「『海外を相手に仕事ができる田舎のデザイナー』を目指し、胸を張って見せられる仕事を続けていきたい」と目標を掲げる。商品撮影を務めた同市在住の榎本紀久さんは「aiさんに100パーセント信頼してもらい楽しく撮影ができた。賞をきっかけに私が撮った写真を知ってもらえたのもうれしく、これからも末永く一緒に仕事ができれば」と栄誉をたたえる。

 商品価格は、ソロ=3,300円、ベーシック=5,500円。同グループのホームページで購入できる。

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