福井工業大(福井市学園3)で4月1日、地域の課題解決に取り組む連携拠点が発足した。
同大正門。現在、工学部、環境情報学部、スポーツ健康科学部の計3学部8学科で構成する
発足したのは「まちづくりデザインセンター」と「ウェルネス&スポーツサイエンスセンター」の2つで、急速な少子高齢社会の進行など社会環境の変化を見据えて設立。まちづくりなど地域が抱える課題に対し、教員や学生が学部学科の枠を超えて取り組むための拠点と位置付ける。
まちづくりセンターは教員21人で構成。各種のデザイン活動を通じた人材育成を主目的とし、センター長に環境情報学部の三寺潤教授が就いた。同学部デザイン学科がかねて実践する学内デザインスタジオ「F's Design Studio」などの活動を発展させ、持続可能なまちづくりや、伝統産業などを起点とする地域活性化のプロジェクトを進めていく。
三寺センター長は発足に当たり、「地域のニーズを拾い上げ、学生の姿を地域の人たちに目にしてもらえるような『顔の見える活動』を展開する。本学独自の『未来志向』×『デザイン思考』のアプローチで新しい価値を創造し、イノベーションを起こす地域デザインの先駆的な役割を果たしていきたい」と抱負を語る。
ウェルネス&スポーツサイエンスセンターは、スポーツ健康科学部などの教員計10人で構成し、時代に応じた健康増進やスポーツ活動の研究・支援などを目的に活動を進める。2015(平成27)年設立の同学部はこれまで、健康増進、競技力やスポーツ参加率向上などの研究を行っており、センター設置により「産官学医連携」事業窓口としての機能を強化する。
センター長に就任した同学部の坂﨑貴彦教授は「ウェルネスには健康となる過程が含まれており、健康にはフィジカルとメンタルのバランスに加えて社会的にも満たされることが重要となる。当センターは経営情報学科の教員も名を連ねているのが特徴で、都市計画を含めたスポーツの在り方についても提言し、地域の皆様のQOL(=生活の質)向上に貢献できれば」と話す。
同大は現在、3学部計8学科で構成する工科系総合大学で、核となる専門分野の研究を拡張する「文理交錯の学び」を実践する。三寺センター長によると、2019(平成31)年3月発足の「AI&IoTセンター」との連携も念頭に、潜在的な地域課題のすくい上げや、学内シーズとのマッチングにも力を入れる意向という。
一般からの問い合わせは、同大社会連携推進課で受け付ける。