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戦前福井の「だるま屋少女歌劇」モデルの舞台、今冬上演へ 出演者を一般公募

ハピリンホールで行われた記者会見の様子。左から、岩崎社長、法山館長、田中店長、中埜さん

ハピリンホールで行われた記者会見の様子。左から、岩崎社長、法山館長、田中店長、中埜さん

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 だるま屋少女歌劇をモデルにした演劇「雨の夏、三十人のジュリエットが還(かえ)ってきた」が今冬、ハピリンホール(福井市中央1)で上演される。

ハピリンホールで行われた記者会見の様子。左から、岩崎社長、法山館長、田中店長、中埜さん

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 だるま屋少女歌劇は戦前、西武福井店(中央1)の前身である百貨店「だるま屋」が地元の少女たちを採用・養成し運営していた歌劇部。1931(昭和6)年から5年間、同店別館「コドモの国」に設けられた劇場で日本舞踊、レビュー、海外演劇など幅広い分野を上演し好評を博した。

 同団をモデルにした同作は、故清水邦夫さんが脚本を、故蜷川幸雄さんが演出を、それぞれ手掛け、1982(昭和57)年、宝塚歌劇団出身者らが出演し日生劇場(東京都千代田区)で初上演された。日本海側の地方都市にある百貨店でつくられた「石楠花(しゃくなげ)少女歌劇団」を舞台に、空襲での同団消失から30年後の出来事がファンタジー仕立てで展開される。

 福井での上演は、中心市街地での文化振興を図る目的でタウンマネジメント機関「まちづくり福井」(中央1)が主催する。記者会見で同社の岩崎正夫社長は「市民が育てる文化が根付くことはまちの魅力発信にもつながる。今回の上演が、百貨店の歴史やそれに関わった人たちの思いを次世代につなぐきっかけとなれば」と抱負を述べた。

 会見では、同店開業の1928(昭和3)年に福井で生まれた作家・津村節子さんのビデオメッセージも披露された。津村さんは「生身の人間が演じ場面展開する少女歌劇はそれまで見たことのなかった体験だった」と懐かしみ、「日生劇場に通って見た作品が福井で再現されるのがうれしく、上演を楽しみにしている」と期待を込める。

 出演者男女計40人を全て一般公募とし、3月18日、まちづくり福井のホームページで要項を発表する。募集期間は4月1日~30日で、5月7日に行うオーディションを経て、6月下旬から週2回程度のペースで稽古を進める。

 福井を活動拠点とする劇団「演衆やむなし」の演出家で、本作の演出を手掛ける中埜コウシさんは「舞台経験は問わず、演劇に興味がある人たちの出合いを楽しみにしている。どんな時代でも生き続ける芸術の強さとしたたかさを一緒につくっていければ」と呼び掛ける。

 関連行事として、福井県立歴史博物館(大宮2)で企画展「百貨店の近代」(10月22日~11月27日)を行う。同館の法山雅浩館長は「『雨の夏』の話は東京駐在時代に津村さんから聞いており、企画展での紹介を考えていた。当時の映像資料がなく断念しかけていたが、まちづくり福井さんの協力で実現に至りうれしい」と感謝する。

 西武福井店でも関連イベントを予定しており、だるま屋開店95年となる2023年の開催に向け準備を進める。同店の田中香苗店長は「福井の人たちに夢を届けていた少女歌劇ゆかりの場で働けることに誇りを感じる。現在、OBやOGに資料提供を呼び掛けるなど、お客さまが豊かな時間を過ごせるよう企画を進めている」と話す。

 上演は12月24日・25日の各日2回。

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