福井市の精肉販売「高島屋」（木田2）が2月15日、新商品「和牛ショコラ」の予約受け付けを始めた。

和牛ショコラの製造工程。加藤さんは「生チョコのような食感を味わってもらえるのでは」と話す

　牛脂の融点の低さに着目し、鹿児島県徳之島産の黒牛「のざき牛」の牛脂をバター代わりに使ったガトーショコラ。牛脂を使った同社製スイーツは、昨年7月に販売を始めたチーズケーキ「和牛chee（ワギュチー）」に次ぎ2商品目になる。

　総料理長の加藤諭さんによると、精肉店では肉を仕分けする際に廃棄される大量の牛脂が共通の課題。「牛の命を余すところなく活用できればと考え、牛脂特有のまろやかさや口溶けのよさに着目した。その特長を生かせるのがバターを生地に練り込むようなスイーツで、第1弾としてチーズケーキを開発した」と振り返る。

　チョコレートの油脂分と牛脂との相性のよさから、2商品目としてガトーショコラを選んだ。加藤さんは「ワギュチー開発時の経験を生かし、半年ほどで商品化にこぎ着けることができた。低温でじっくり焼き上げることで、外側のカリッとした食感と内側のしっとりした食感が両立できた」と笑顔を見せる。

　のざき牛は東京食肉市場（東京都港区）が行う「全国肉用枝肉共励会」での受賞歴もあり、甘みのある牛脂が特徴の一つという。「バターよりもコクを感じることができ、口に含んだ瞬間、肉を焼いた時のような香ばしい香りがほのかに広がる。和牛ショコラは、そのまま食べるのも、ワインなどと組み合わせて酒のつまみとして食べるのもおすすめ」と加藤さん。

　「アタラシイものや体験の応援購入サービス」を掲げるウェブサイト「マクアケ」で先行予約を受け付ける。コースは3,200円～3万1,000円の計17種類。ホワイトデー向け先行受け取りプラン、和牛cheeとのセット、のざき牛とのセット、まとめ買いセットなどのプランも設ける。

　同サイトでの先行予約数は開始1週間で140件を超え、加藤さんの予想を上回る反響という。「全国の精肉店が同じように牛脂の扱いに困っているのではと想像する。今後、福井の若狭牛の牛脂を使ったスイーツや、のざき牛の牛脂と鹿児島産黒糖を組み合わたスイーツなどにも挑戦し、SDGsの面からも貢献できれば」とプランを描く。

　予約受け付けは3月22日まで（ホワイトデー向けプランは2月28日まで）。