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福井の「汐うに」老舗が新商品 熟成1年超の限定品、舌触りの良さ売りに

出来上がった新商品を手にする天野社長

出来上がった新商品を手にする天野社長

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 福井市のウニ加工品製造販売「天たつ」(福井市順化2)が10月7日、新商品「福井産別誂(あつら)え汐(しお)うに 天王屋吉兵衛」の販売を始める。

キリの箱に収められた同商品(25グラム入り)。商品名は創業当時の屋号と店主名に由来するという

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 1804年創業で日本三大珍味の一つとされる「汐うに」発祥の同社が、6次産業化の取り組みを支援する福井県食品加工研究所(坂井市)と共同研究した同商品。近年希少となりつつある福井県産のバフンウニを「塩蔵法」という製法で加工し、熟成させて発売にこぎ着けた。

 塩蔵法は、原料のバフンウニに塩を振り掛けて水分を抜き味わいを凝縮させる同社伝統の汐うに製法。同社11代目の天野準一社長によると、「製造工程は手作業で、直径3センチほどのバフンウニ100個から作ることができる汐うには100グラム程度」という。

 同社ではかねて「夏に作られ冬を越えた汐うには甘くなる」という話が経験則として伝えられており、県産バフンウニ由来の汐うにを熟成させた最高級品の開発を企画。経験則を指標化し安定した商品製造を実現するため、昨年、同研究所に相談を持ち掛けた。

 同研究所の久保義人所長は「試験用汐うにを熟成させた結果、汐うにに含まれるアミノ酸成分の一つ・メチオニンが時間と共に減少することが判明した」と説明。メチオニンは汐うにの苦みなどに関わる成分で、その減少が甘みやうまみの向上にもつながることから、マイナス5度から0度の低温下で1年以上熟成させた汐うにを最高級品に位置付けることとした。

 今回出荷分は、2019年夏収獲のバフンウニから甘みやうまみが際立つものを選んだ上で約2年間熟成させた。生産量は約5キロで、25グラム入り換算で170個程度を限定販売する。来年以降も10月上旬をめどに販売を始める見通しという。

 天野社長は「福井県産バフンウニ漁獲量はこの40年で10分の1以下まで減少している。大幅な増産は難しいかもしれないが、長い時間かけて育てていきたい商品。雑味のない洗練された舌触りは福井の酒や米と相性が良く、『汐うにを味わうために福井に行きたい』という人が増えるきっかけとなれば」と話す。

 価格は、12グラム入り=5,400円、25グラム入り=1万800円、39グラム入り=1万6,200円、80グラム入り=3万2,400円。同社片町本店、JR福井駅プリズム福井店、ネットショップで販売する。

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