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アルコール分ゼロの魚醤油好調-福井の老舗、イスラム圏向けに

同商品を手に「煮物や汁物の隠し味にもお勧め」と話す白崎社長

同商品を手に「煮物や汁物の隠し味にもお勧め」と話す白崎社長

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 福井市にあるしょうゆ醸造業「室次」(福井市田原2、TEL 0776-22-2001)が3月に発表した「福むらさき」が好調な売れ行きを見せている。

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 同商品は「アルコール分ゼロ」が特徴の魚醤油(ぎょしょうゆ)。食品の発酵について研究する福井県大の宇多川隆特任教授の協力を得て商品化にこぎ着けた。サバの内臓に含まれる分解酵素を活用し発酵時間を24時間程度に縮めた「速醸魚醤」技術を応用したという。同社の白崎裕嗣社長は「従来のしょうゆ製法では3%程度のアルコール分が含まれてしまう。アルコールゼロにする方法があるとは全く想像できなかった」と話す。

 1573年創業の同社が3年前、江戸時代のレシピで天然醸造した「幕末のソイソース」を発売したのがきっかけ。しょうゆ本来の味わいを再現できたものの、白崎社長に「添加物で味を調えられたしょうゆに慣れた消費者には物足りないのでは」との思いが残った。そこで、しょうゆに合う天然うま味成分を求めてネット検索し、宇多川特任教授が研究する「無臭魚醤」の情報に行き着いたという。

 禁酒の戒律があるイスラム圏への拡販を狙う。今年2月にはNPO法人「日本アジアハラール協会」(千葉県千葉市)から、イスラム教徒が口にしても問題ないとされる「ハラール認証」を取得した。3月に幕張メッセ(同)で開かれた食の展示会「FOODEX JAPAN 2014」に出品したところ、空港関係やホテル関係の業者からの問い合わせが殺到したという。

 5月から本格的に出荷が始まった。「商社などから中東や中国向けにケース単位で注文が来ている。中国では『うま味豊かな調味料』として売れているとも聞く」と白崎社長。「日本国内でのハラール認知はこれから」とした上で、海外での実績を「逆輸入」し国内拡販につなげたいと意気込む。

 価格は540円(100ミリリットル)~2,484円(1リットル)。同社ホームページで扱う。

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