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福井・鯖江発の眼鏡が「眼鏡業界のアカデミー賞」受賞 左右非対称の創造性に高評価

シルモドールを受賞した「monocle」。フレーム上部とレンズとの間に隙間を設けたデザインで、ナイロン糸を使わずネジのみでレンズを支える構造が特徴

シルモドールを受賞した「monocle」。フレーム上部とレンズとの間に隙間を設けたデザインで、ナイロン糸を使わずネジのみでレンズを支える構造が特徴

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 福井県鯖江市で製造された眼鏡フレームが10月上旬、眼鏡業界のアワード「シルモドール」で眼鏡フレーム部門グランプリを受賞した。

「私を受賞に導いてくれた多くの方の支えに感謝。これからも楽しんでデザインを考え、商品の提案をしていきたい」と話す丸山さん

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 シルモドールは仏パリで毎年行われる国際眼鏡展示会「シルモ・パリ」で授賞されるアワード。創造性や革新性などに富んだ製品に贈られ、業界関係者の間では「眼鏡業界のアカデミー賞」ともされている。

 受賞したのは東京を拠点に展開する眼鏡ブランド「MASAHIROMARUYAMA」(東京都渋谷区)2020年コレクション「monocle(モノクル)」のモデル「MM-0052」。チタン、ベータチタン、アセテートを用いたフレームで、鯖江市にある眼鏡フレーム製造「辻めがね」(鯖江市南井町)が製造に当たった。

 MASAHIROMARUYAMAは2011(平成23)年に発足し、代表の丸山正宏さんがデザインを手掛ける。「Unfinished Art(未完成のアート)」というコンセプトの下、コレクションテーマを毎年変えながら一貫して左右非対称のフレームを発表しているのが特徴で、サカナクションの山口一郎さんら芸能人の愛用者も多い。

 モノクルとは片眼鏡の意。丸山さんは「美術館で見た、近世の人々の情動を描いた絵画が着想のきっかけになった。額縁の中からあふれ出ていた不思議な気品を再解釈し、モノクルをヒントに現代のデザインに融合させた。過去と現代という2つの眼鏡がつながったコレクション」と話す。

 受賞の知らせに、辻めがねの担当者・田中靖次郎さんも「ノミネートすら難しい狭き門での受賞は快挙」と丸山さんを祝福。「毎年、業界の常識にとらわれたわれわれが一瞬言葉を失う革新的なデザインが届き刺激になる。丸山さんのおかげで、当社も左右非対称フレームという新たな分野を手掛けることができた。MASAHIROMARUYAMAはここ数年特に注目度が高まっているブランドで、受賞に関わることができたのは誇らしい出来事」と話す。

 丸山さんによると「当社のような日本のインディペンデントブランドが受賞するのは初めて」という。ブランド発足10年という節目を前に、「今年はコロナ禍という前例のない状況下での受賞となったが、これを機に私を含めた若手デザイナーブランドへの注目が広がれば。産地である福井県をはじめ、日本の産業とデザインの素晴らしさを世界に発信していきたい」と意気込む。

 価格は5万5,000円。田中眼鏡(鯖江市神明町1)など取扱店で販売する。

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