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福井・越前市の和紙メーカー、高級筆記用紙発表-ツバメノートとのコラボも

山田さん(左から2番目)、角谷さん(同3番目)ほか同商品開発スタッフの面々

山田さん(左から2番目)、角谷さん(同3番目)ほか同商品開発スタッフの面々

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 福井県越前市の製紙メーカー「山田兄弟製紙」(越前市不老町)が11月13日、筆記専門高級紙「越前和紙 福乃ここ千(ふくのここち)」を発表した。

発表会で披露された「福乃ここ千」ロゴ入りのツバメノート

 開発開始は6年前。「ツバメノート」(東京都台東区)の商品で使われる中性紙「バイキング・フールス紙」の製造中止がきっかけだった。ツバメノートを扱う文具店「角文」(福井市文京4)社長の角谷恒彦さんは、万年筆ファンなどとの交流から「バイキング・フールス紙のような紙を、1500年の歴史を誇る越前和紙の技術でできないか」と発案。産地である越前市今立地区を訪ね協力を募った。

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 角谷さんの呼び掛けに興味を示したのが、同社社長の山田晃裕さんだった。「2009年まで株券用紙をメーンに製造していたが、株券電子化に伴い受注がほぼゼロに。次の展開を探っていた時、角谷さんと出会った。万年筆に合った長期保存可能な紙を求めていると聞き、株券用紙製造のノウハウが生かせると感じた」。山田さんと角谷さんの二人三脚でプロジェクトが始まった。

 和紙の材料は、コウゾやミツマタなどの植物を煮たり水にさらしたりした後、植物性粘液を混ぜたのり状の液体。伝統的な製法の「ため漉(す)き」では、その液体を簀桁(すげた)ですくい上げて紙の層をつくっていく。そのため、「片面はツルツル、もう片面はザラザラ」が和紙の常識とされていた。同商品では漉き工程を機械化し和紙原料に特性が近い木材パルプを用いるが、ノート用途を見据えた紙づくりには「和紙の常識」を覆す技術革新が必要だった。

 そこで同社は、福井県工業技術センター(福井市川合鷲塚町)に技術支援を依頼。同社の株券用紙と市販のノート紙の構造を同センターの分析機器で徹底比較した。勘頼みだった製造工程や表面加工などの改善指導も受け、「紙が万年筆を受け止めてくれるような書き心地」を実現させた。山田さんは「指導を受ける前は場当たり的な試作が続き、開発が止まってしまった時期もあった。『これでいこう』という品質にたどり着いたのは今年の1月だった」と話す。

 万年筆のような水性インクで書いてもにじみが少ないのが特徴。市販のインクジェットプリンター、レーザープリンターでの印刷にも対応する。最小ロットは大手製紙メーカーの40分の1という250キロで、B5判ノート約600冊分。透かしや形状、サイズ、色、紙厚などフルオーダーが可能。同商品の端緒となったツバメノートとのコラボも発表し、ツバメノート仕様オリジナルノートの生産を1000冊から受け付ける。

 同社は今後、封筒メーカーやノベルティーデザイン会社など、紙にこだわりを持つ企業へのアプローチを強化予定。プロデューサーを務める角谷さんは「透かしの入った筆記用紙を少ない予算でできるのは、大手製紙メーカーにできない強み。世界的ファッションブランドの手帳や、皇居で開かれる園遊会の招待状などに採用してもらえるブランドへ成長させるのが夢」と意気込む。

 同商品の問い合わせは、角文(TEL 0776-22-7731)で受け付ける。

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