福井県小浜市にある「料亭播磨」(小浜市小浜香取)が昨年12月15日、インバウンド(訪日旅行)向け予約サイトをオープンした。
1981(昭和56)年開店の同店は、同市「三丁町」地区に残る市内唯一の芸妓(げいぎ)料亭。開店当時、市内には料亭などの「茶屋」が16軒あったが、人口減少などの影響で廃業が相次いだという。
昨年2月、まちづくり会社「まちづくり小浜 おばま観光局」(小浜市和久里)が行った外国人向けモニターツアーでの料亭体験が好評だったことから、インバウンド需要を見込んだ予約サイトを約3カ月掛けて制作した。
サイトは日本語と英語のバイリンガル表記。コンテンツ制作など営業支援を行う「KNEW(ニュー)」(小浜市大手町5)の佐久間一己さんは「昼メニューを充実させ、いわゆる『一見さん』にも気軽に来店いただけるよう料金を明瞭に打ち出した」と話す。
夜の宴会(1人1万3,000円、飲み物別)のほか、昼メニューとして、三味線演奏付きのランチ(同5,000円、同)、投扇興(とうせんきょう)や「こんぴらふねふね」などのお座敷遊び体験(同1,500円)、レンタル着物(同1,500円)などをそろえる。
「小浜や芸妓料亭の魅力を分かりやすく伝えるためネイティブチェックを行った」とも。英語に堪能なスタッフを含めた複数人が予約メールを共有し、受け付け後72時間以内に日時を確定できる仕組みを整えた。サイト公開後ほどなく、カナダ在住の女性から芸妓入門の問い合わせメールも届いたという。
「小浜は公共交通機関利用で京都から約2時間という地域で、インバウンドに目を向ければまだまだ伸びしろはある」と佐久間さん。同市を京都からの有力なオプショナルツアー先として位置付け、「外貨獲得」による地域雇用の環境向上につなげる考え。