福井市立図書館(文京2)が5月1日、リニューアルオープンした。
1976(昭和51)年に造られた建物の老朽化に伴う刷新で、約1年半かけ、建物の耐震化、書庫増築、多目的ホールなどを備える地域交流センター併設などの工事を進めた。福井市が掲げる「ゼロカーボンシティー」推進の一環として、省エネ効果の高い建築物であることを示す「ZEBReady(ゼブレディー)」を市の公共施設で初めて実現した。
建物は、鉄筋コンクリート造り3階建ての図書館部、鉄骨造り2階建ての地域交流センター部などで構成する。延べ床面積は約5700平方メートル。閲覧席数は約170席。リニューアル前よりも書架の間隔を広げ、ベビーカーや車いすの利用者に配慮した。
1階には、児童室、おはなし室、ティーンズコーナー、グループ学習室、対面朗読室などを設ける。静粛性確保のため、児童室と一般室の間には通路を配置した。「子どもたちが伸び伸びと利用できるようにするとともに、一般利用者も静かな空間で読書に没頭できるよう工夫した」(同館職員)。刷新に合わせて一般室からつながるテラスを新設し、屋外での読書も楽しめるようにした。
2階には、一般室、参考図書室、新聞コーナーなどを設ける。フロアの一部は吹き抜けとなっていて、吹き抜けを囲むようにして円形の書架を配置した。貸し出し手続きは1階、2階それぞれで行うことができ、両フロアに自動貸し出し機も設けて混雑回避を図った。
新設の地域交流センターは、1階=受付、飲食可能なラウンジ、キッチンエリア、2階=多目的ホール、活動室という構成。「市民が集い、学習し、交流する場として使用できるようにした。講演会やワークショップなど、子どもから年配の人まで楽しむことができる企画を予定している」(同)という。
開館に先立ち記念式典があり、西行茂福井市長、八田一以福井市議会議長、明道中(文京2)で図書委員長を務める大久保柚希さんらがテープカットを行った。あいさつに立った西行市長は「本を読んだり借りたりするだけでなく、集い、交流する場として大いに活用してもらえれば。市民と共に成長する図書館となるよう取り組んでいく」と決意を込めた。
同館によると、現在の蔵書数は約46万冊で、72万冊まで収容可能という。福井市在住という70代女性は「リニューアルオープンを待ち望んでいて、初日に借りる本も決めていた。館内はこれまで以上に居心地の良さを感じる雰囲気で、他の本もゆっくり選べそう」と笑顔を見せた。