福井市の「パブリックハウスおいち 深夜食堂」(中央1)が11月2日、移転オープンした。
2016(平成28)年、福井駅前南通り商店街のテナントビル内に開業した同店。来春の北陸新幹線延伸開業に伴い同商店街が再開発事業の対象となることから、旧店舗から約400メートル離れたビルの2階に移転した。
店舗面積は約50平方メートル。席数はカウンター12席。店内中央にコの字型のカウンターを設け、キッチン正面に旧店舗になかった2人掛けソファを備えた。窓側カウンター席からは足羽(あすわ)河原の様子を一望でき、JR北陸線や福井鉄道福武線など橋上を行き交う電車も眺めることができる。
フードメニューは、ライスやうどんなどを選べる「おいち特製トマトカレー」(800円)、生ピーマンに赤ウインナーソーセージをのせた「ウインピー」(700円)、おでん各種(150円~、盛り合わせ8品800円)など。ドリンクは、「らっぱ飲み推奨」(店主の西澤昌毅さん)という小瓶入りビール各種(600円)、地酒「花垣 超辛純米」「常山 純米辛口 参の升」などの日本酒(1合600円~)などをそろえる。
西澤さんによると、再開発に伴うビル取り壊しの話が舞い込んだのは1年ほど前という。「開業当時に駅前で深夜営業する食堂がほとんどなかったのが、南通り商店街に店を構えたきっかけ。地元の人たちにお世話になった身として、駅前以外での移転オープンは全く考えなかった」と振り返る。
駅前エリアの空き店舗を3、4軒巡り、広さや家賃などを勘案して物件を決めた。南側の大きな窓も決め手の一つだったといい、西澤さんは「今まで壁に囲まれるような店で営業してきたので、仕込み時間帯の明るさにまだまだ慣れていない」と、冗談めかして笑う。
「パブリックハウス」の名に、「人同士のつながりや、新たな仕事などの起点となれば」という願いを込める。店内備え付けの「深夜食堂ノート」もその一環で、「深夜食堂」という名に引かれ来店した観光客や、福井でのライブ観覧後に訪れた県外の音楽ファンなどが、西澤さんへの感謝や店の印象などのメッセージをつづる。
「一言、二言しか言葉を交わさなかったお客さまがノートに温かな言葉を残してくれているのを読むにつけ、『人はコミュニケーションの糸口を求めているのだな』とよく感じる」と西澤さん。チェーン店など配膳ロボットを見かける場が増えている昨今の社会事情を引き合いに、「見知らぬ同士が共通の話題で盛り上がれるのは、個人店ならではのアドバンテージでは」と話す。
営業時間は18時~翌1時ごろ。火曜定休。