福井県越前市の冷凍食品専門店「京町リパブリック」(京町3、TEL 0778-42-7217)が4月上旬、レンタルキッチン事業を始めた。
「CHOJI」のスパイスカレーの一例。予約はインスタグラム(@chojispicecurryservice)で受け付け、テークアウトにも応じる
飲食店業や菓子製造業などでの創業を目指す人たちの支援を目的に、約4カ月かけて準備を進めた。築90年以上という元酒販店をリノベーションした店舗の一部を、カウンター4席とテーブル席4席を備えるキッチンとして貸し出す。
キッチン面積は約1.5坪。ガスコンロ3口、コンベクションオーブン、電子レンジ、電気炊飯器、冷凍冷蔵庫などの機器を備える。1日当たりのレンタル料金は9時~16時=5,500円で、今後、夕方~夜の時間帯の貸し出しも予定する。
初のレンタル利用者は昨秋、京都から同市にUターン移住した久木由香さん。京都在住時代に飲食店のホールスタッフだったという久木さんは、コロナ下の時短営業の影響などでプライベートの時間が増え、趣味として始めたスパイスカレー作りにのめり込んでいったという。
「新型コロナの影響で店が閉じられることになり、『小さくてもいいから自ら稼ぐ道を切り開かないと』という気持ちになった」と久木さん。SNSでの反応も良かったというスパイスカレーを軸にした開業を決め、「店を開くなら慣れ親しんだ土地で」とUターン移住に至った。
4月9日、「CHOJI」の店名でスパイスカレー店を開業し、週2日各日15食限定でカレーファンを呼び込む。久木さんは「飲食店の勤務経験があると言っても、物件を借りるとなると資金確保や集客などのハードルがある。調理と接客を1人で行うに当たり、私自身にどれくらいのキャパシティーがあるか確かめるためにも、こうしたキッチンの存在はありがたい」と笑顔を見せる。
「お母さんの お母さんによる お母さんのためのフローズンフードショップ(=冷凍食品専門店)」を掲げ、昨秋開業した京町リパブリック。店長の林久美子さんは「『CHOJI』のオープンを機に、男性や若いカップルなど今までにない層の来店客が増えた。店の活気づくりにもつながり、レンタルキッチン事業の可能性を感じる」と話す。
「CHOJI」の営業時間は、土曜・日曜の11時~14時(ラストオーダー)。