福井駅東口の福井市観光交流センターで3月25日、福井県民参加型事業「福井の方言愛着ましましプロジェクト」成果報告会が行われた。
映画「福井のおと(仮)」の監督を務める鯖江市出身の片山享さん(右)も登壇し、製作の進ちょくを説明した
来春の北陸新幹線福井・敦賀開業に向け、県民の機運向上や観光客もてなし事業活性化を目指すプロジェクト。福井の方言を地域の宝物と位置付け、福井県と民間企業でつくる実行委員会が、映画製作、TシャツやLINEスタンプのデザインコンペなどを展開する。
成果報告会は、県内在住の高校生が取り組む福井弁辞典「まんでもん ~若者と方言のズシ~」のお披露目として行った。発表会には編集長を務めた森野巧巳さん(敦賀高1年)ら高校生17人が参加し、「福井県『おもてなし担当』知事」を務める福井市出身の俳優・津田寛治さんに制作過程を報告した。
タイトルの「まんでもん」は、美浜町の方言で「一生もの」、「ズシ」は敦賀市の方言で「小道」をそれぞれ意味し、図鑑と小説の2部構成で福井弁を紹介する。森野さんは「日常生活に根付いた方言に目を向けることは、福井を好きになるきっかけになると考える。この辞典が若者と方言をつなげる小道のような役割となればという願いをタイトルに込めた」と説明した。
小説は、福井にある架空の高校「越前学園」に転校してきた東京出身の主人公が方言に興味を持ち、周囲の人たちに話を聞きながら福井弁を学ぶというストーリー。執筆チームの一人、巌千明希さん(勝山高2年)は「プロジェクトメンバーの協力でプロット作りはスムーズだった。話の展開に合わせて方言を盛り込むのに苦労したが、初めての小説執筆を終えることができ、達成感でいっぱい」と笑みをこぼす。
報告会では津田さんから高校生への修了証書授与もあり、メンバーそれぞれが笑顔で証書を受け取った。あいさつに立った津田さんは「高校生の熱意ある報告を聞き、おもてなし担当知事として一安心した。これから何年もかけて中身を濃くしていくとのことで、大人の人たちも温かい目で応援してもらえれば」と来場者に呼びかけた。
現在、福井弁約100語をイラスト付きで解説した図鑑と、「dialect memories(ダイアレクト・メモリーズ)」と題した小説の1章・2章を、共にウェブサイトで公開している。プロジェクトは2023年度も継続し、福井に住む人たちの会話や街中の雑踏など、福井の風土を構成する音にフォーカスした映画「福井のおと(仮)」完成試写会などの事業を予定する。