丹南ケーブルテレビが10月1日、スマホアプリ「ふくい防災シグナル」を公開した。
グーグルマップと携帯端末内蔵のGPS機能を活用し、利用者周辺の気象情報、河川水位、台風の接近状況、避難情報の有無などを横断的に確認できる。基礎データは、国土交通省、気象庁、日本気象協会、福井県、日本道路交通情報センターなどから提供を受け、同社開発のプログラムで集約している。
同社メディア戦略室の吉田拓朗さん・西川裕貴さん・竹内優騎さんを中心に企画を進め、約半年かけて公開にこぎ着けた。吉田さんは「県域の放送局では地域の奥深くまでを対象にする災害情報提供は難しい。地域により近いケーブル局が手掛けることで、地域の皆さんが防災への心準備を自分ごととして捉えるきっかけになればと考えた」と話す。
開発担当の竹内さんは、もともと組み込みシステムのエンジニアで、同社入社後1年かけてアプリ開発言語「Swift」を習得した。「初めてのアプリ開発で手探りな点が多い中、課題になったことの一つが基礎データの差異の吸収だった。データを取得するための『API』という仕組みが未公開の情報源もあり、ウェブサイトのHTMLソースからデータを取り出す『スクレイピング』も併用してフォーマットを整えた」と振り返る。
企画の発端は、同社が手掛ける雨・河川水位情報サイト「COCOAME」、雪・道路情報サイト「COCOYUKI」にある。吉田さんは「2011年の『COCOYUKI』公開時からGPS連携が視野にあった。当時はスマホの普及が今ほどでなかったためPC向けサイトから着手したが、ようやく時代がコンセプトに追いついてくれた」と笑みを浮かべる。
「スマホアプリ化により、災害が起きそうなときに利用者へ防災情報を通知するプッシュ機能を搭載できた。インストール後は必要に応じてアプリが情報を通知してくれる」と西川さん。「公開当日にたまたま爆弾低気圧が来たが、『気象や防災の詳しい知識がなくても、複数の情報源をまとめて確認でき、数時間後の見通しが立った』という声もあった」とも。
全国のケーブルテレビ局への拡販も視野に入れる。「大半のケーブル局は少人数による運営で、災害が長期にわたったとき情報提供にかけられる人的資源が限られる。現場の人たちが抱える悩みの解消につながれば」と吉田さん。Android搭載の次世代型ケーブルテレビ受信端末の普及も、同アプリの需要を押し上げるのではと期待を寄せる。
同アプリはiOS版が現在公開中で、12月ごろに積雪量などを確認できるバージョンに切り替わるという。Android版は2016年中の公開を予定する。
アップルの「App Store」からダウンロードできる。