福井を舞台にした映画「時のおと」が2月28日、メトロ劇場(福井市順化1)で公開される。
鯖江市出身の映画監督・片山享さんが、福井県内5つの地域で撮影したオムニバス作品。各地域に暮らす人々のリアルな営みを「町の音」の記録を通じて描く意欲作で、音響効果に頼らない演出で構成した。
「音があるから町は町であり得る」という自身の考えをテーマに、2023年春から約1年かけ、福井市、小浜市、南越前町、鯖江市、勝山市で撮影を行った。小浜市の旧茶屋町「三丁町」、勝山市の「弁天桜」や年中行事「勝山左義長」など、県内の名所や風物詩も巧みに溶け込ませた。
作品は4話構成で、演劇部の高校生、街の音に憧れた女性、漁師、移住者を主人公に据えて紡ぐ。俳優陣として、福井出身の津田寛治さん、上のしおりさん、笹木奈美さん、窪瀬環さんのほか、葵うたのさん、柳谷一成さんらが名を連ね、それぞれの地域に住む人たちも多数出演した。
勝山市出身の窪瀬さんは小浜編に出演し、「町に流れる時を止めたい」と願う無垢(むく)な女性を演じた。「比較的長めの撮影期間で、滞在中は町中を歩いて人々の生活圏を肌で感じた。映画は同じ時空にいる人々を丁寧に描いているストーリー。福井に住んでいても離れた町に行く機会はそう多くないと思うので、地元の人たちにこそゆっくり見てほしい作品」と呼びかける。
福井での公開に先立ち、1月31日、片山さんら関係者は東京都内で舞台あいさつを行った。片山さんは「『映画を見て福井に行きたくなった』という声を寄せてくれる人が多かった。観光映画と逆行するような作りをした映画だが、そうした感想を抱いてくれる人がいることを励みに新たな広め方も考えていけたら」と振り返った。
メトロ劇場でも、2月28日、3月1日・7日・8日、片山さんらによる舞台あいさつを予定する。