福井の伝統工芸応援アイドルユニット「さくらいと」が現在、「アイドルと学ぶメタバース」の活動を展開している。
「さくらいと」のメンバー。左から、KAKOさん、MAIさん、HIYORIさん、WAKANAさん、MEIさん
メタバースとは、超越などを意味する「メタ」と、宇宙を意味する「ユニバース」を掛け合わせた造語。インターネット上で展開される3次元仮想世界を指し、アバター(=自分の分身)を通じて交流や経済活動などを行う。
同ユニットは2月上旬、メタバースサービス「クラスター」上にメンバー5人のアバターを置き活動を始めた。プロデューサー・マネジャーの川縁圭志さんと共に、メタバースの巡り方や機能の使い方などを学ぶ様子をユーチューブチャンネルでライブ配信している。
川縁さんがメタバースに関心を寄せたのは3年ほど前だったという。「新しいもの好きな仲間と一緒に使い始め、さくらいとの活動にも活用できればと考えていた。『アイドルと学ぶ』といっても解説動画のように作り込んでしまうと面白みがないので、台本なしの『ぐだぐだ感』を見せることを売りにしている」と話す。
2月20日の第3回配信ではメンバーとファンの交流の場となる「ワールド」制作の過程を紹介。ワールドのステージで記念撮影する場面では、訪れたファンが壇上にひしめき合うハプニングもあった。「リアルなら制約がかかるようなシーンもメタバースなら簡単に実現する。これまでの常識にとらわれず、ワールドに集まってくれるユーザーと一緒に新たな展開を探れれば」と川縁さん。
メンバーもメタバースの可能性を新鮮に受け止める。ユニット設立時からのメンバー「MAI」さんは「都会や地方といった居住地にとらわれない情報発信ができる。メンバーそれぞれが作った工芸品を披露したり販売したりできれば」と話し、今年1月に加わった「MEI」さんは「配信を重ねるごとに新たな発見があって楽しく、スマホで個人のワールド作りにもはまっている。メタバースでも衣装を作ってライブをしたい」と笑顔を見せる。
これまでも動画配信などオンライン展開を積極的に行ってきた同ユニット。活動の場を新たに広げたことで、メタバース活用に関心を寄せる越前市の研究グループとのコラボレーションも進んでいるという。
川縁さんは「福井の伝統工芸の魅力を世界に広めるのがさくらいとのミッション。メタバースへの注目の高まりが、世界イコール海外という従来の捉え方を変える契機になった。いい意味で先の展開は見えておらず、リサーチを重ねながら楽しく使う一方、その活用法を平易な言葉で市民に広める社会貢献もできれば」と話す。
ライブ配信の日時は公式ツイッターアカウントで告知する。ライブ配信のアーカイブは「アイドルと学ぶメタバース」で検索できる。