福井のボードゲーム愛好者グループ「ちゃがちゃがゲームズ」が11月20日、1人用ボードゲーム「キャラホメ ソロ」の販売を始めた。
ゲーム中のイメージ。お気に入りの推しキャラと共にプレーを楽しむ
ゲームイベントの企画やゲーム制作などの活動を展開する同グループのメンバー・川口洋一郎さん(越前市在住)が考案。アニメの登場人物やアイドルなど、プレーヤー自身の「推しキャラ」を卓上に置いて共に楽しむという1人用ゲームで、遊びを通して自己肯定感を高めることをコンセプトとする。
「どちらかというと消極的な性格」という川口さんが制作に取り掛かったのは今年6月ごろ。あるゲーム関連の企画が頓挫し、ここまで頑張った自分をゲームでねぎらうことを考えたという。川口さんは「『ほめる』をテーマにしたゲームの構想は以前から漠然と持っていた。ネットで探したほめ言葉をエクセルで整えて印刷し、試しに遊んでみた」と振り返る。
推しキャラから優しい声を掛けてもらっているような感覚となり、心が癒やされることを実感した川口さん。「戦略を巡らせるようなボードゲームとは異なるニッチな分野だが、私のように誰かからのほめ言葉を必要としている人がいるのではないか」と思い立ち、試作品を周囲の人たちに遊んでもらい、フィードバックを得ながら完成度を高めていった。
ゲームは「きっとできる」「感謝してる」などの言葉が書かれたカード48枚、木こまの「ホメリン」などで構成。プレーヤーは推しキャラへの相談事を決めてカードを1枚めくり、書かれた言葉を手掛かりに、推しキャラの「励ましのせりふ」を頭の中で再生する。これを繰り返してプレーヤーにとっての一番のカードを選び抜き、ホメリンに立てて記念撮影するなどしてゲームを楽しむ。
パッケージやキャラクターなどのデザインは、ゲーム仲間でもあるデザイナー・aiMIKIさん(同市在住)が手掛けた。「試作品で遊んでもらった上で、『お任せ』でデザインを依頼した。企画の背景などを詳しく説明していなかったのにパッケージイラストや色使いのストーリーを組み立ててくれて、企画者である私が感心させられた」と話す。
発売に合わせ、グループ活動などを通して知り合った学校、図書館、福祉施設、児童館などに寄贈を呼び掛けたところ、現在までに県内外約70施設から反応があった。
「ほめ言葉を探すだけでも楽しい」「ほめられ慣れしていないと自分で気付いた」「好きなキャラクターであるからこそ、意外なほめ言葉も素直に受け取ることができる」などの声が寄せられたほか、九州在住の精神科医からは「遊びながら認知行動療法のエッセンスを体験できるゲーム。専門知識のない方がこのようなゲームを作ったのがすごい」との評価も得た。
学校、図書館、放課後デイサービスなど団体への進呈は引き続き受け付ける(規定数に達し次第終了)。川口さんは「グループワークで遊ぶのも楽しいという声も多く寄せられている。より多くの方に楽しんでもらえるよう、多人数で遊べるバージョンも作りたい」とプランを描く。
価格は2,200円。ボードゲーム専門店「ボドゲSHOP オフライン」(福井市)、「ヘクス・イン・ゲームズ」(敦賀市)、アマゾンや楽天などで販売する。