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福井の伝統工芸技術で松葉づえ製作 地元アイドルも完成に笑顔

完成した松葉づえを披露する、「MAI」さん(左)、「WAKANA」さん(左)。漆塗り工程では、漆芸材料販売店の「箕輪漆行」(越前市朽飯町)が取り扱う漆を使った

完成した松葉づえを披露する、「MAI」さん(左)、「WAKANA」さん(左)。漆塗り工程では、漆芸材料販売店の「箕輪漆行」(越前市朽飯町)が取り扱う漆を使った

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 福井の伝統工芸技術で作ったオリジナル松葉づえが8月下旬、完成した。

「MAI」さんが絵付けした蒔絵。左側のサクラの中央部にはそれぞれ、越前和紙や越前打刃物などを図案化した絵が描かれている

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 製作したのは、「福井の伝統工芸応援」を掲げて活動するアイドルユニット「さくらいと」の「MAI」さん。MAIさんは6月に左足を受傷し、アイドル活動を続けながら松葉づえ生活を送っている。

 「松葉づえは木製が多く、福井の伝統工芸技術のコラボレーションでオリジナル品を作れないか」と、活動先で出合った職人らに相談を持ち掛けた。MAIさんは「職人さんに依頼する方が早く完成するが、伝統工芸を応援する『さくらいと』として、自分で作ることにこそ意味があると考えた」と話す。

 MAIさんが描いたスケッチ画を基に、オーダー家具製造販売「ファニチャーホリック」(越前市大虫町)代表で越前指物の技術を持つ山口祐弘さんが設計図を作成。7月下旬から8月上旬にかけMAIさんが木材加工を行った後、漆器製造販売「土直漆器」(鯖江市片山町)で3回に分けて拭き漆作業を行った。

 「漆にかぶれないように準備をして取り組んだ。本格的な拭き漆作業をしたのは今回が初めてで、職人さんの手さばきを間近で見ることができてよかった」とMAIさん。同ユニットメンバーの「WAKANA」さんもMAIさんの取り組みに感心の表情を見せ、「製作の話を初めて聞いたとき『MAIちゃんって天才』と思った」と振り返る。

 終盤の工程に当たる蒔絵(まきえ)作業は、和包丁材料・漆芸品販売「柄と繪」(越前市池ノ上町)の蒔絵師・山本由麻さんの手ほどきで行った。絵柄はユニット名の基となったしだれ桜や、家紋をモチーフにしたもので、事前に山本さんに道具一式を貸してもらい練習に取り組んだ。

 アドバイスに当たった山本さんは「もともと9月上旬のイベントでの発表を予定しており、製作期間が短い中で本当にまじめに取り組んでくれた。工数と見栄えのバランスを考慮することなどハードルの高い要求を投げ掛けた場面もあったが、その求めにしっかりと応えてくれて鳥肌が立つほどうれしかった」と顔をほころばせる。

 同ユニットは2019年に活動を開始し、今年9月1日に最年少の新メンバー「HIYORI」さんの加入を発表した。活動では松葉づえの紹介の場も設けていく予定で、「越前指物や越前漆器を身近に感じるきっかけを作っていきたい」(MAIさん)、「オリジナル松葉づえを購入したいという方が増えることで、福井の伝統工芸技術がより広まれば」(WAKANAさん)と話す。

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