福井県が2月21日、伝統的工芸品プロジェクト「FUKUI TRAD」発の「ふくいとらっど」商品群を発表した。
ライブ配信も行われた「ふくいとらっど」発表会で、越前打刃物の技術を生かしたバングルを着ける「のん」さん
昨年9月、「匠からポップカルチャーまで日本の魅力を世界に発信」を掲げるセレクトショップ「ビームス ジャパン」をパートナーに発足した同プロジェクト。北陸新幹線福井・敦賀延伸を見据え、県内7つの伝統的工芸品を現代の生活に根ざした身近な存在にアップデートすることを目的とする。
プロジェクトには、映画「この世界の片隅に」主人公・すずの声などで知られる、女優で創作あーちすとの「のん」さんが商品デザインで参加。発足以来、日常生活を豊かにする「暮らしのための伝統工芸」と、美容やファッションに使える「美しさのための伝統工芸」二本柱で商品開発を進めてきた。
発表したのは、越前打刃物の技術を生かしたバングル(1万2,000円)、越前焼ピアス(5,000円~7,000円)、越前和紙シュシュ(2,000円)、若狭塗チークブラシ(1万3,000円、以上税別)など24アイテムで、のんさんが描き下ろした原画を基にした装飾を施した。「ビームス ジャパン」ディレクターの鈴木修司さんは「福井は自然豊かな土地。のんさんに自然の五大要素である『土・火・水・空・風』をテーマにした原画を依頼し、商品の柄・形・パッケージなどに落とし込んだ」と説明する。
開発の過程ではのんさんも福井を訪れ、伝統的工芸品の工房で職人の声に耳を傾けた。「見たことのない道具を目にするなど貴重な時間を過ごすことができた。職人さんの作る物全てが美しく、その素晴らしさを伝えるプロジェクトに参加できることにうれしさを感じた」と、のんさん。コンセプトに沿うよう、「ポップな色合いにしつつ余分な要素をそぎ落としたデザインにした」という。
3月1日、ビームス公式オンラインショップ、ビームスジャパン(東京都新宿区)で販売を始める。杉本達治知事は「1500年の歴史がある越前和紙や越前漆器を筆頭に、長く使われているということは福井の伝統工芸の質が高いことの証し」とした上で、「プロジェクトを通じて県内産地に新たな発想や考え方も生まれた。福井だけでなく日本の伝統工芸が世界に広がり、末永く使ってもらえるきっかけになれば」と期待を込める。
同プロジェクトホームページで、のんさんや、伝統的工芸品の職人らが出演するプロジェクト動画も閲覧できる。