福井を舞台にした短編映画「君がいた街」が4月4日、ユーチューブに公開された。
撮影中の様子。木川さん(写真中央)は「(片町近くにある順化小出身の)吉田喜重監督にも懐かしみながら見ていただけた」と振り返る
作品は2013(平成25)年に製作。当時、福井工業大デザイン学科准教授だった木川剛志さん(現・和歌山大観光学部教授)が監督を務めた。映画祭出品を想定し長くネット公開していなかったが、福井県内におけるコロナウイルス感染症の感染事例増加を受け、「9年間お世話になった、福井の人たちの温かさと優しさに恩返しできれば」(木川さん)と公開を決めた。
福井市内にある繁華街「片町」の戦前の様子を詳しく知るという謎の主人公「真希」と、まちづくりを学ぶ男子学生を軸に展開するおとぎ話のようなストーリー。古地図などから当時の様子を探索するまちづくり活動を題材にしており、「地図の記述を読めば読むほど、街の姿が違って見えてくる」という木川さん自身の体験も織り込んだ。
黒澤明の「羅生門」などの映画美術を手掛けた祖父を持つという木川さん。「初めて作った映画で今から見れば反省点だらけ。3部作で劇場公開というプランもかなわず、福井の方々に見ていただく機会も少なかった。福井の大変さが伝わってくる中で改めて作品を見て、県外出身の私を温かく迎えてくださった福井の人たちともっと多く関わり合いたかったと感じる」と話す。
上映時間は約25分。