教育の在り方をテーマにした討論会「校則って拘束?」が12月13日、福井大(福井市文京3)教育学部で行われた。
教員の働き方など教育現場をめぐる諸問題について考えようと、同大の学生有志がつくったグループ「Teacher Aide(ティーチャー・エイド)福井支部」が企画。ツイッターなどで参加を呼び掛け、教員を目指す学生、小学校や高校などの現役教員、保護者ら約15人が参加した。
同支部は今年4月に設立。代表で同大1年の竹澤佑未さんが「ティーチャー・エイドは『教員一人ひとりを幸せにする』という趣旨で学生が始めた活動。京都から始まり、現在、全国20カ所以上に支部が広がっている」と設立の経緯を説明。参加者に「中学・高校時代を振り返って記憶に残っている校則を」と発言を促した。
参加者は「ソックスやタイツの色が決められていた」「フード付きコート着用での登校は禁止」など母校での校則のほか、「ヘアワックスを付けて登校したらその場で洗わされた」「ツイッターは鍵付きアカウントで使うよう言われた」など生徒指導にまつわるエピソードを発表。高校教員から「学校に対する管理強化と校則の増加には関わりがある」という解説もあり、参加者は校則が生まれた背景や校則をめぐる現状について理解を深めた。
後半は、校則を撤廃したという桜丘中(東京都世田谷区)の事例を基に、校則の在り方について討論する時間を設けた。「戦後70年がたち教育の仕組みが肥大化している。付きすぎた脂肪を落とす時期に来ているのでは」といった意見の一方、「一から校則を見直すには大きな労力が掛かる。教員の多忙化が進む中、前例踏襲で事を進めたいという現場の本音もある」という主張もあった。
同団体が一般対象のイベントを行うのは、教員の長時間労働を題材にしたドキュメンタリー上映会以来、約半年ぶり2回目。校則を議題にしたことについて、メンバーで同1年の前田歩南さんは「高校時代の生徒会活動で校則を変えることができた経験から、今回の議題にしたいと強くプッシュした。校則の見直しについて前向きに考えてはという問題提起をしたかった」と説明する。
「理不尽な校則に疑問を持ちつつも、『学校を背負っている』という立場から見直しに踏み切れない教員の立場が理解できたのは収穫だった」と竹澤さん。高校時代の生徒会活動や自主活動が団体設立につながったとした上で、「教育の在り方について同年代の学生ともっと語り合いたい。今回のような討論会だけでなく、専門誌の輪読会なども開いて活動を進めていければ」とプランを描く。