ものづくり複合施設「TOURISTORE(ツーリストア)」(鯖江市河和田町)が4月21日、福井県鯖江市にオープンした。
フレームに漆塗りを施した「URUSHI BIKE」。色味や仕上げが異なる計4台をレンタル向けに用意する
同市内に拠点を置くデザイン事務所「TSUGI」(同)、漆器製造販売「錦古里漆器店」(同)との共同運営。店舗面積は200平方メートル。「福井のものづくりとデザインを体験できる小さな複合施設」を掲げ、セレクトショップ「SAVA! STORE」、観光案内所「Craft Invitation」、見学可能な漆器工房などを設ける。大阪のクリエーティブユニット「graf」が店舗設計を手掛けた。
「SAVA! STORE」は同事務所が国内外で展開するポップアップストアの常設店。地元ゆかりの素材を生かした自社アクセサリーブランド「Sur」「TOOWN」のほか、スタッフが「福井生まれ」を軸にセレクトした食器、食品、アパレル商品、インテリア雑貨などを販売する。
観光案内所には、産地企業とものづくりに関心を寄せる観光客とをマッチングするなどの機能を持たせた。漆器製造販売「漆琳堂」(鯖江市西袋町)と、自転車メーカー「tokyobike」(東京都台東区)とのコラボレーションによる漆塗り自転車「URUSHI BIKE by tokyobike」も用意し、時間貸しによる産地周遊を提案する。
TSUGI代表の新山直広さんは「(同市など丹南地区で行われるものづくり体感イベント)『RENEW』や、『SAVA! STORE』の運営経験などが複合施設開設へとつながった。漆塗り自転車もRENEW向けに企画したアイテムで、県外から福井に移住したカフェオーナーや美術作家との縁があって誕生した」と明かす。
grafに依頼した経緯については、「彼らのビジョンに共感していたことや、デザイン、自社ブランド開発、ショップ運営など複合的な業態にTOURISTOREとの類似性を感じた」と解説。新山さん自身も建築を専攻した経歴を持つが、「設計に当たっては『河和田のまちの素材を使ってほしい』というオーダーだけ。あとは彼らの持ち味に任せた」と振り返る。
開設に当たり、福井県が行う「おもてなし産業魅力向上支援事業」採択による助成金も活用した。新山さんは「普段は受託案件がほとんどで、発注者としてデザインに関われた今回のプロジェクトは貴重な経験だった。得られた知見を店舗接客などに生かし、産地全体の刺激となるようフィードバックしていきたい」と意欲を見せる。
営業時間は12時~18時(土曜・日曜は11時~)。火曜・水曜定休。