福井で岩下みどりさんトーク 「相棒」などタイトルバック制作秘話明かす

「ファッションや雑誌などからタイトルバックの着想を得ることも多い」と話す岩下さん(右)

「ファッションや雑誌などからタイトルバックの着想を得ることも多い」と話す岩下さん(右)

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JR福井駅西の複合施設「響のホール」(福井市中央1)で3月4日、トークイベント「古畑任三郎から相棒まで あのテレビ番組のタイトルバックを作ったのは私です。」が行われた。

ドラマ、バラエティー、報道など番組ジャンルごとに好まれる色合いや風合いなどの解説もあった

 岩下さんは東京都在住の映像プロデューサー。これまで、「古畑任三郎」「白い巨塔」「相棒」「人志松本のすべらない話」「ネプリーグ」「大改造!! 劇的ビフォーアフター」などのタイトルバックを手掛け、近年は映像業界のキャリアデザイン勉強会を企画・運営するなど人材育成にも力を注いでいる。

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 イベントは、同施設にある第3セクター「まちづくり福井」が企画する「ふくいアートフェスタ」の一環で、市内外から約100人が来場した。

 前半では「タイトルバックの基礎知識」と題し、テレビ番組におけるタイトルバックの役割などを解説した。欧米の放送業界では一般的という「ブロードキャストデザイン」(=タイトルロゴ、衣装、セットなど放送画面全体を演出する仕事)に触れ、「タイトルバックはブロードキャストデザインの一要素」と説明した。

 1950年代以降のテレビの歴史をなぞりながら「タイトルバックは単に題名を伝えるだけだったが、近年は番組のブランディングやプロモーションまでの役割を背負っている。1990年代半ばに公開された、映画『セブン』や『トレインスポッティング』のタイトルバックが日本のテレビ業界に及ぼした影響は大きい」とも。

 中盤では、現在放送中のドラマ「相棒 season16」タイトルバックの制作エピソードも披露した。「制作期間は昨年6月から約3カ月でプリプロと呼ばれる企画・準備に半分の期間を費やした。タイトルバックで描く世界を物語として書き上げてからプレゼンテーションに臨み、40人を超えるスタッフと世界観を共有した」と話した。

 自身の仕事を「本の装丁家や服飾業界のスタイリストのような仕事」と位置付ける岩下さん。「クライアントやスタッフの旗印となり、キャストや視聴者の思い出となるのが私の考える『イケてるタイトルバック』。本編と同じことをしない自立性や、短い言葉で特徴をクチコミできるような象徴性を常に意識している」と強調した。

 締めくくりにテレビとの付き合い方に関する提言もあった。「私は友人をときどき自宅に呼び、再放送のドラマに一緒に見る小さなイベントを開いている。テレビは複数人で同時に見ることができる特性を持つメディア。『テレビ離れ』が言われる時代だが、テレビを受動的に見るのでなくコミュニケーションの道具としてもっと積極的に使っては」と呼び掛けた。

 来場者からは「現役で有名な作品を手掛けている方の話でとても楽しめた。時間があればもっと話を聞きたかった」「トークが上手で聞きやすかった」「テレビ業界の話を聞くことができ興味深かった。もう一度岩下さんを呼んでほしい」などの声が寄せられた。