福井県大野市のハンバーガー店「Lucy's Mash Burger(ルーシーズ・マッシュ・バーガー)」(大野市中挾、TEL 0779-64-5035)がオープンして3カ月がたった。
ブロック肉から切り出した、角切り肉の食感が口に広がるチーズバーガー
店舗面積は約25坪。同市内にある店主・松村健一さんの生家をリノベーションし住居兼店舗として開いた。「テークアウト専門店」をうたうが、テラス席16席も設ける。
フードメニューは「ハンバーガー」(864円)、「チーズバーガー」(972円)、「ベーコンエッグバーガー」(1,188円)、「フレンチフライ」(Mサイズ=324円、Lサイズ=540円)、「オニオンリング」(同=324円、同=540円)など。ドリンクメニューは「コーヒー」(レギュラーサイズ=162円、ラージサイズ=216円)、「フレーバーソーダ」(378円)などをそろえる。
松村さんは1973(昭和48)年同市生まれ。大学卒業後東京でアニメーターとして勤務し、2003年に福井にUターンした。2008年に同じくUターン組の妻・信子さんと結婚し、翌年から松村さんかねての希望だったハンバーガー店オープンに向け準備を始めたという。
ハンバーガーの材料であるバンズやパティーにこだわりぶりをのぞかせる。松村さんは「各地のハンバーガーを食べ歩いた結果、ハンバーガーのおいしさを握るのはバンズだと思った。県内のベーカリーにバンズを作ってもらったが納得するものが得られず、自分たちの手で作るしかないと腹をくくった」と話す。
信子さんにとって「パン作りは初めて」で、当初は失敗の連続。粉、酵母、ミキシングの方法など、あらゆる要素を変えて試行錯誤を重ねた。信子さんが試作したものを当時会社員だった松村さんが評価し、足かけ7年で独自のバンズを作り上げた。
バンズはできたものの、開店1カ月前になっても満足のいくパティーが仕上がっていなかった。焦る松村さんを救ったのは、あるテレビ番組だったという。「偶然見掛けた都内有名店の様子をヒントにパティーの調理法を変えてみた。自分が求めていた仕上がりになり、無事オープンに間に合わせることができた」と振り返る。
「オープン前は自分たちのハンバーガーが受け入れられるか心配だったが、予想を上回る反響の大きさに驚いた」と信子さん。当初は信子さん1人で切り盛りする予定だったが、開店ほどなく松村さんも会社を辞め「二人三脚」で店に専念する方針に切り替えた。
「ハンバーガーショップだけでやっていけるか不安だった。軌道に乗るまで会社員を続けようと思ったが、お客さまに受け入れられる様子を見て会社を辞める決心をした。何よりうれしいのは、子どもから年配の方まで近隣のリピーターが増えたこと」と頬を緩ませる。
「コーヒーも店の売りにしたい」と、定休日をコーヒー豆の焙煎(ばいせん)日に充てる。「コーヒーは飲食店経営の基本といえる飲み物。まだまだ自分の理想には到達しておらず研究を続けていきたい」。現在は「スペシャルティコーヒー」と呼ばれる豆を使い、パナマ産とインドネシア産をブレンドしているという。
松村さんは「出来たてハンバーガーのバンズのサックリ感を味わっていただけるようになれば」と話し、「ゆくゆくは店内に飲食スペースを設けたい」と夫婦で夢を膨らませる。
営業時間は11時30分~16時。月曜定休。