えちぜん鉄道の福井-福井口間が9月27日、高架仮線での営業運転を始めた。
9月23日、沿線住民対象の試乗会が行われ、約180人が出来たての駅施設などを見学した
同線は福井県が進める「福井駅付近連続立体交差事業」の一環。同区間の立体交差工事用地を確保する目的で、北陸新幹線福井駅部約800メートルの高架橋を仮線に充てる。営業開始に伴い、福井駅・新福井駅のホームが高架上に、福井口駅が松本通り南側に移転し、新福井-福井口間は長さ約210メートルのこう配でつながった。移転後のホームは各駅とも長さ約45メートルで、福井駅・福井口駅が島式の1面2線、新福井駅が相対式の2面2線構造。
県の担当者によると、ほかの鉄道事業者が開業前の新幹線構造物を使うのは珍しいケースという。ツイッターでも、「開業前の東海道新幹線を走った阪急京都線を思い出す」「撮影と乗車に行かなければ」「歴史が繰り返されているようで面白い」など、全国の鉄道ファンが盛り上がりを見せている。
新設の高架線は単線で、2018年度の工事完了を予定する。同区間の駅ホーム全てを高架上に設け、それぞれの駅で列車行き違いを可能にする。同社担当者は「9月28日から駅舎や線路など旧設備の撤去準備を始める。高架橋の工事期間は実質約2年と異例のスピード。早朝・夜間・週末などの作業も行われる予定で、周辺住民の方の理解が欠かせない」と話す。
同日、福井口駅から約800メートルの西別院駅寄りに、同社3つ目の新駅・まつもと町屋駅も開業した。「福井口-西別院間は当社平均に比べ駅間距離が長く、以前から新駅設置の要望があった」と同担当者。「周辺は老齢人口が増えている地域でもあり、中心市街地への利便性向上につながれば」と期待を寄せる。