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福井・越前市の和紙会社がクラフトビール 紫式部にちなむ酵母売りに

「ラベルから伝わる和紙の手触りも楽しんでもらえれば」と山口社長

「ラベルから伝わる和紙の手触りも楽しんでもらえれば」と山口社長

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 越前市の山伝製紙(南小山町)が6月上旬、自社ブランドのクラフトビールの通信販売を始めた。

同商品。壁紙用途の和紙を用いたラベルは、水ぬれや温度変化などに耐えるという

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 祝儀袋などの文具、菓子の包装紙、壁紙用和紙などを手がける同社が、「和紙職人が作った紫式部花酵母のCRAFT BEER」という商品名で販売する。福井県、越前市、同市の商工関係者などでつくる紫式部プロジェクト推進協議会が「パープルハートプロジェクト」の一環として企画した。

 プロジェクトは、かつて同市で暮らしたとされる紫式部にちなむ取り組みで、紫色をキーカラーにした新商品開発を通じて市の食や町の魅力などを発信することを目的とする。

 商品はゴールデンエールタイプで、アルコール度数4.5%。東京農業大花酵母研究会の協力の下、シソ科ムラサキシキブ属の植物「ムラサキシキブ」の実から採取した酵母を基に、大阪市のビールメーカー「MARCA BREWING(マルカブルーイング)」が醸造した。

 山伝製紙社長の山口真史さんによると、マルカブルーイングとの出合いは、越前市で毎年行われる工芸イベント「千年未来工藝(こうげい)祭」がきっかけという。「越前和紙の歴史をつくってきた職人たちのように、未知の物事に挑むような意気込みで一緒にビール造りに挑戦した。ほのかにシソの香りが残る、苦さ控え目のすっきりした味を楽しんでもらえれば」と話す。

 ラベルは壁紙用途の和紙をベースに、越前市在住のデザイナー・aiMIKIさんが紫色基調のデザインでまとめた。表面にはムラサキシキブの実、和紙の原料となる植物、市ゆかりのコウノトリやキクなどをあしらい、瓶同士の摩擦ではがれないようラベルの形を丸くするなどの工夫も凝らした。

 今年2月、市内の道の駅、酒販店、「しきぶきぶんミュージアム『光る君へ 越前 大河ドラマ館』」(高瀬2)などで先行販売を始め、これまでに約700本を売り上げた。「通販での購入だけでなく、実際に越前市に来てビールの味わいを楽しんでもらえれば」と山口さん。今後、市内で行われる観光イベントなどへの出店も予定する。

 330ミリリットル入り。価格は990円。

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