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福井在住の芸術家・西野カインさん、地元で2年ぶり個展開催へ 新曲MV発表も

ベニヤ板大の大型作品など展示作品と共にカメラに収まる西野さん

ベニヤ板大の大型作品など展示作品と共にカメラに収まる西野さん

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 鯖江市の総合博物館「まなべの館」(長泉寺町1)で4月26日~28日、展覧会「灯(あか)りの消えた部屋」が開かれる。

展示作品より。西野さんは「グロテスクな作風と言われることもあるが、子どもの頃に感じた心の痛みを思い出すきっかけになれば。かつての痛みを思い出すことで、人は優しくなれると思うから」と話す

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 福井在住の芸術家・西野カインさんによる約2年ぶりの地元での個展。A5判サイズからベニヤ板大まで、新作を含む約100点を展示する。

 画材は、油性ペン、極細ペン、水彩絵の具などさまざま。「自分の美学や経験を全てさらけだした展覧会」と言う西野さんは、10代の頃、学校や教師になじめず不登校になった経験などを展覧会タイトルに投影したという。

 「夜の車窓に流れる民家の明かりが、人々の生活の証しを示しているようで昔から好きだった。でも、明かりの消えた部屋にも生きづらさを感じる人たちの営みがあるかもしれない。見落とされてしまいそうな存在に目を向けてほしいと考え、題名を決めた」と西野さん。

 自らをポエマーとも称し、展示作に添えるキャプション作りにも神経を払う。絵の力6割、言葉の力4割のバランスで作品を構成するように心がけているといい、「キャプションを絵の理解の補助線として生かしてもらいながら、絵と言葉、双方の表現を味わってもらえれば」と呼びかける。

 音楽活動も並行し、4月下旬には、個展開催に合わせて新曲「不幸の唄」のミュージックビデオを自身のユーチューブチャンネルに公開する。「絵を描く全ての人に捧(ささ)げる」というテーマで自身の半生をつづった自伝的な楽曲で、書きためたフレーズを再構成したという歌詞に父の護さんが曲を付けた。

 西野さんは「絵を描く原動力にも共通するが、自分のことを偽りなく言葉にしたくて歌詞多めの楽曲にした。私の一番の理解者で、子どもの頃に漫画家になりたかったという父への親孝行の気持ちもある。熱中できる物事がある一方で、2つ以上のことをうまくこなせないという人に伝われば」と話す。

 昨年は、北陸新幹線延伸開業関連イベントでのライブペインティング、賀茂神社(福井市加茂町)拝殿向拝の天井画制作、出雲大社(島根県出雲市)への作品奉納など屋外活動も多かった西野さん。今回展示の新作はそうした活動の合間に描きためた作品が大半で、西野さんは「描き続けないと死んじゃう人なので」と冗談めかして笑う。

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