鯖江市が現在、市政広報「広報さばえ」の「プチ改革」の取り組みを進めている。
「広報さばえ」の表紙と、「まちの話題」コーナー。デジタルブックでも配信する
広報紙は毎月25日発行。発行部数は2万4000部。秘書広聴課の大森治幸さん、渡辺真帆さんの2人が編集を担当し、取材、撮影、原稿執筆、印刷用データ制作などの工程を全て課内で行っている。
プチ改革の取り組みの一つが、祭りやスポーツイベントなどのリポートを伝える「まちの話題」コーナーの原稿作成。コーナーは毎月1、2ページのレギュラーもので、各記事とも、写真、見出し、約100字の本文で構成する。
執筆担当の大森さんが挑むのはリポート文末に盛り込む「オチ」作り。8月25日発行の9月号では、7月の市民ラジオ体操デーを報じたニュースを「体のチューニングもばっちり?」、市が高校生らと取り組む「第18回JK課ピカピカプラン」のリポートを「JK課の『十八番(おはこ)』企画」という文末で締めた。
4月に同課に配属された大森さんは全国紙の元記者で、新聞紙面にかつて載っていた小コーナーをヒントにしたという。「堅い新聞の中でくすっと笑えるオチを付けるのが記者間の暗黙の了解だったが、考えるのが難しかったのか書き手が減りコーナー自体もなくなってしまった。市政広報も新聞同様に堅い印象を抱かれているのではと考え、一服の清涼剤として楽しんでもらえればと始めた」と振り返る。
オチに使える文字数は最大20字程度。広報に必要な情報を十分盛り込んだ上で文末をひねるのに苦労するというが、「課内での校正作業の時、上司が『うまい』『頑張った』などのコメントを寄せてくれるのが励みになっている。市政広報の枠組みをはみ出さない範囲でどれだけ遊べるかというチャレンジが面白い」と大森さん。
遊び心あるリポートを楽しみにしているという、市内在住の会社員・水嶋進さんは「韻を踏んだり駄じゃれを盛り込んだりしたユーモラスな文章で、『なかなかやるなあ』と感心しながら読んでいる。こうしたちょっとした工夫が、堅いイメージのある市政広報に目を向けてもらえるきっかけになるのでは」と話す。