勝山市のものづくりプラットフォーム「勝山工ふ房(こふぼう)」が8月22日、地域産品の技術を核とする新ブランドの販売を始めた。
勝山工ふ房は6月下旬、観光地域づくり法人(DMO)「勝山市観光まちづくり」(勝山市元町1)と、ブランドコンサルティングなどを手がける「ハングオーバープレート」(神奈川県鎌倉市)により発足。繊維など地域のものづくりの技術力に、アイデアやストーリー、デザイン性、機能性などを掛け合わせられる基盤を提供し、BtoC型の商品作りを支援する。
第1弾アイテムは、ワークパンツ「こふパン」(1万1,000円)、「こふスカーフ」(2万2,000円)の2品。ワークパンツはアパレル向け縫製などを手がける「ラコーム」(勝山市滝波町1)との共同開発で、破れが広がらないようにパラシュート生地の技術を生かし、膝部分にタックを入れて座りやすくなるようにするなど、機能面の工夫を凝らした。別売りの着脱式ポケット(3,000円)はサコッシュとして使うこともできる。
スカーフは勝山高(昭和町2)とのワークショップを経て開発。生成AIの急速な普及を背景に、AIやアートを研究テーマに掲げる同校探究特進科の生徒と共に、生成AIの出力結果から着想を得て「マカロン味の恐竜缶」の絵柄をデザイン。東野東吉織物(元町2)製造の羽二重織りにインクジェット印刷で染色した。
同DMOマネジャーの今井三偉さんによると、市内には高級ブランドの生地や縫製などを手がける繊維関連企業もあるという。両アイテムの開発に当たっても「ものづくりの福井勝山を、想像する、創造する」のテーマの下、地域産品の技術を現代的なファッションブランドの視点で捉え、幅広い層に届けられるよう趣向を凝らした。
Bリーグのブランディングなどを手がけた、ハングオーバープレートの橋島康祐さんは「コロナ禍の中、市内企業とのプロジェクトを機に勝山とのつながりができ、ものづくりに携わる人たちの熱量に圧倒された。繊維など地場産業はBtoBが軸で産業のアウトプットが見えづらく、受け手はもとより作り手にとっても新鮮な視点や驚きを得られるようなブランドに育てていければ」と話す。
福井県立恐竜博物館隣接のショップ「ふらぷとる」と、オンラインショップで販売する。