福井市在住の男性が現在、福井のご当地ヒーロー誕生に向けた取り組みを進めている。
ジュース店店頭で笑顔を見せるマサさん。「大人の観賞にも耐え得るショーを作る」と意気込む
取り組んでいるのは、バナナジュース専門店「Banana Boy(バナナボーイ)」(蒲生町)店長でフリータレントの「マサ越前」さん。かつてヒーローショーのスーツアクターとして活動した経験を生かし、恐竜化石発掘量日本一を誇る「恐竜王国福井」にちなんだヒーロー「古代竜士バレミアン」の誕生を目指す。
愛知県出身のマサさんがヒーローショーを意識したのは、生徒会長を務めていた高校生の時。担当教員から地元のイベントへの出演を打診され、量販店でコスチュームを購入しステージに臨んだのがきっかけだった。「イベントで東映系のアクターチームと一緒になり、チームの人たちの演技に圧倒された」と振り返る。
もともと芸人の道を志していたというマサさんは、卒業後、音響関連の専門学校を経て吉本興業東海支社(名古屋よしもと)の芸人として所属。ステージデビューを果たすものの心労が重なって行き詰まり、福井出身の芸人仲間に誘われ、心の癒やしを求めて福井の地を訪れた。
福井での短期滞在と名古屋での日常生活を繰り返すうち、豊かな自然や人々の温かさに魅力を感じてIターン移住を決めた。しかし、芸人としての再スタートを切ろうとした矢先、新型コロナ感染拡大で県内のイベントが軒並み中止となる。マサさんは事務所退所を決め、知人の紹介でバナナジュース店の店長に就くことになった。
「子どものころは『超力戦隊オーレンジャー』や『忍者戦隊カクレンジャー』に熱中した」というマサさん。地元の殺陣チームに所属するなどフリータレントとしての活動も重ねるうち、かつて芸能活動の一環として取り組んだヒーローショーを諦め切れない気持ちに気付いた。「中途半端な形で名古屋での活動を抜けることになったのが心残りで、ショーの機会が少ない福井でもう一度、自分の好きな道を究めたいという思いが募った」
企業協賛などヒーローショーをビジネスとして成り立たせるプランを練り、福井ゆかりの恐竜「フクイサウルス」が生息したとされる白亜紀バレミアンにちなんだ名前を付けた。バナナジュース店を通じて知り合ったクリエーターからイメージ画作成の協力も得ることができた。
ステージデビューは今夏の予定で、現在、クラウドファンディングで寄付を募っている。目標額は80万円。コースは3,000円~10万円の18コースで、マフラータオル、初ステージのオンライン観賞権、ヒーローショー参加権、イベントへのヒーローショー出張権、「マサ越前をこき使える権」などの返礼品を設ける。寄付金はスーツ製作費用に充てるという。
テレビ画面を縦横に駆けるヒーローの姿に、コンプレックスを抱えていた心が救われたと振り返るマサさん。「私たちのステージを見た子どもたちが将来、『バレミアンに力や勇気をもらえた』と思い出してくれれば本望。福井の豊かな自然や人の温かさに後押しされながら、私を導いてくれた福井に恩返ししていければ」と話す。
クラウドファンディングは2月27日締め切り。