福井市の映画館「メトロ劇場」(順化1)で11月26日、俳優・赤井英和さんによる舞台あいさつが行われた。
舞台あいさつの一こま。赤井さんは「見るたびに新たな発見のある不思議な映画」、佳子さんは「見る人それぞれが自分自身のことを振り返るきっかけになれば」とそれぞれ呼びかけた
赤井さんのプロボクサー時代をつづるドキュメンタリー映画「AKAI」の公開に合わせて関係者が企画。同作品と、1989(平成元)年公開の赤井さんの初主演作「どついたるねん」を上映し、各作品上映後、赤井さんと、妻でマネジャーの佳子さんが舞台に登壇した。
1980年代、「浪速のロッキー」の愛称でファンの熱い支持を受け、俳優としてデビュー後もテレビドラマ、映画、バラエティー番組などで幅広く活躍する赤井さん。生の姿を一目見ようと、11時の上映回には県内外から熱心なファン約50人が駆け付けた。
舞台あいさつは時折駄じゃれを交えた軽妙なテンポで展開した。「AKAI」は赤井さんの長男でプロボクサーの英五郎さんが監督を務めた作品だが、「(赤井さんは)言っては駄目だということも全部話してしまうような性格」(佳子さん)で、赤井さんが同作の存在を知ったのは封切り前日の9月8日だったという。
赤井さんが敗れた2試合の記録映像を軸に据え「ボクサー・赤井英和」の心情に迫る同作。プロデビュー12連続KO勝ちという闘いぶりもつづっていて、赤井さんは「(私のような)『どつき合い』スタイルのボクサーを相手にするのは嫌だっただろうなと思わされるような展開。ボクシングの熱闘がスクリーンに映し出されるのは、モハメド・アリを描いた『アリ』以来では」と話す。
「試合の日は大阪じゅうが祭りのような盛り上がりで、もみくちゃにされながら会場の控室に向かった」とも。完成した作品を見た佳子さんも「熱狂する客席の映像だけを見れば、この作品がボクシング映画だとは分からないかも。彼の闘いぶりを大阪の人たちが誇りに思い、大阪の街を盛り上げていたのでは」と当時をしのぶ。
会場からも質問が相次いだ。「佳子さんが感じる赤井さんの良さは」との問いには「年齢や性別に関係なく周囲に接することができ、周りに対してだけでなく自分も大切にすること」(佳子さん)、「夫婦円満の秘訣(ひけつ)は」の質問には「『ありがとう』も『ごめんなさい』も声かけのスピードが大切」(赤井さん)とそれぞれ答え、今年の「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたむつまじさをうかがわせる場面もあった。
上映は、「AKAI」=12月9日まで、「どついたるねん」(フイルム上映)=同2日まで。