福井県越前町に6月1日、越前町移住・2地域居住体験施設「Mohage(モハージュ)」がオープンした。
人口減少を背景とする移住促進・空き家対策に取り組む同町が開いた施設で、同町西部の茂原(もはら)地区にある築約30年の空き家を改修した。名称は「Mohara」と「Voyage」(=航海)に由来し、移住など新生活の船出につながる施設となればとの思いを込めたという。
木造2階建てで、床面積は1階・2階とも約26坪。車庫・倉庫だった1階部分をリビングとダイニングに改め、浴室や水洗トイレ、インターネット回線などの設備も整えた。2階は、6畳・8畳・10畳の和室各1室、約8畳相当の洋室で構成される居住スペースとなっている。
利用対象は、同町への移住・2地域居住希望者、同町内での起業や活動拠点の設置を考える団体など。利用期間は2泊3日から最長30泊31日。同地区の有志でつくる「寿楽会」が、地域住民との交流会など体験プログラムを用意し利用者をサポートするという。
施設のコンセプトづくりには、地元住民などでつくる「越前町空き家利活用検討委員会」の提言が生かされた。同委員会アドバイザーで、NPO法人「ふるさと福井サポートセンター」(美浜町)代表の北山大志郎さんは「地域の歴史や住民の思いと、移住希望者の『新しい風』が共存できるデザインを行った。施設運営を通して双方が幸せになる関係が築ければ」と期待を寄せる。
同町定住促進課の中村英哲さんによると、同町内にある空き家は現在約660棟で、うち約8割が流通可能な物件という。5月26日には、空き家の適切な管理・活用を所有者や自治体に促す「空き家対策特別措置法」も全面施行された。中村さんは「町内の空き家対策は緒に就いたばかりで、『Mohage』での取り組みをモデルケースとして今後につなげたい」と意気込む。
料金は6,000円(2泊3日)~4万円(30泊31日)。寝具や食料品などの経費は自己負担。同課ホームページで問い合わせを受け付ける。