福井で資料展「ほっておくと、こうなります。」 劣化資料の臭い体感コーナーも

「日常にひそむさまざまな危険」コーナーの展示

「日常にひそむさまざまな危険」コーナーの展示

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 福井県文書館(福井市下馬町、TEL 0776-33-8890)で5月29日、企画展「ほっておくと、こうなります。-転ばぬ先の資料保存-」が始まった。

「いったん劣化が始まった資料を100パーセント修復するのは難しい。温度・湿度管理など劣化をなるべく避ける工夫を」と中村さん

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 6月9日の「国際アーカイブズの日」に合わせて企画された同展は、同館所蔵の古文書や行政資料など20点とパネル展示で構成。「日常にひそむさまざまな危険」と題したコーナーでは、虫食いや水没、紙の酸性化などで破損した資料を並べた。併せて、一般家庭での資料保存のコツや劣化の際の対処法もパネルで紹介する。

 「資料の修復・代替化」コーナーでは、和紙すき技術を応用して古文書を修復する「リーフキャスティング」の工程をパネルとともに解説。室町時代後期に書かれたとされる劔(つるぎ)神社(越前町)関連の古文書や、1868(明治元)年の「五榜(ごぼう)の掲示」の高札も併せて並べ、同館業務の一端がうかがえる展示となっている。

 経年変化で酢酸ガスを出す「ビネガーシンドローム」が進行したマイクロフィルムも。アクリル製のふたに覆われた実物がテーブル上に置かれ、フィルムが発する「酸っぱい臭い」を体感できる。

 同館企画担当の中村賢さんは「マイクロフィルムと同様、CDやDVDなどの電子記録媒体も適切な温度・湿度管理が大切」と強調。「電子記録媒体の寿命は意外に短い。一般家庭でも、重要な資料は複数の媒体で保存してリスク分散を図るのが望ましい」とアドバイスする。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入館無料。6月24日まで。

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