
写真展「越の軌跡-北陸本線から新幹線へ-」の今秋開催に向けて現在、福井ゆかりの鉄道写真愛好者らが準備を進めている。
黒猫てつさんの作品より。「鉄道は何らかの形で生活に関わっている存在。来場した人と、見慣れた景色の中を走っていた列車の姿を共有できれば」
北陸新幹線延伸開業という福井の鉄道史の転換期を追った鉄道ファン3人による写真展。SNSなどを通じて交流を深めてきた、福井在住の「黒猫てつ」さん、東京在住の「てらおのりあき」さん、神奈川在住の「いわしき」さんが開催準備に取り組んでいる。
福井駅西のギャラリー「ART SITE 25」(中央1)に3人の作品計約50点を展示する。被写体は、北陸本線を走るJRの特急「サンダーバード」「しらさぎ」、北陸新幹線、同線延伸に伴い開業した並行在来線「ハピラインふくい」の列車などで、鉄道と地域との関わりを各自の視点でカメラに収めた。
写真展は福井出身のてらおさんの呼びかけで実現した。「帰省のたび沿線に足を運び、文殊山や日野山などの山々、足羽河原の桜並木など、地元の人たちが大切にしているものと鉄道を共に撮るようにしてきた。昔からカメラが好きで、さまざまなレンズを使って撮影している」と話す。
「本展を通じて写真展運営の手法も学べれば」と話すのは、もともと「乗り鉄」だったという黒猫てつさん。「個人で鉄道カレンダーを作ったり、フォトコンテストに応募したりしたことはあるが、写真展での展示は初めて。九頭竜川の鉄橋や坂井平野の田園地帯などを走る特急の写真を展示して、記録写真としての側面も伝えられれば」と意気込む。
北陸本線を走る車両の格好良さや沿線の四季の風景に、兵庫出身のいわしきさんも引き付けられた。いわしきさんは高校時代、「サンダーバード」の乗車を機に同線に引かれ、昨年末のコミックマーケットで同線をテーマにした写真集も販売したという。「撮影旅行では猛暑の中、駅間を歩いて移動したこともあった。それでも苦労を上回る写真を多く撮ることができ、今となっては『苦労もいい思い出』と感じている」
会場は福井駅から徒歩約5分の位置にある2フロア構造のギャラリー。「鉄道ファンに限らず多くの人に見てもらえれば」と口をそろえる3人は、会場の特徴を生かした展示プランを考案中で、来場者と北陸本線にまつわる思い出話に花を咲かせられるような構成を目指すという。
開催期間は10月31日~11月2日。時間はXアカウント(@koshinokiseki)で案内する。