プレスリリース

ざわザワ高校~海の未来を変える哲学~#6 哲学思考で海と向き合った「高校生による学びの発表会」を開催しました!

リリース発行企業:海と日本プロジェクト広報事務局

情報提供:

(一社)福井環境研究開発は、2月2日(日)に「ざわザワ高校~海の未来を変える哲学~」の6回目を開催いたしました。ざわザワ高校は、「海の持続可能な利用と保全」を目的に、海の課題やジレンマを抱える人から高校生がその現状と障壁を学び、物事の本質から社会を改善していく哲学思考によって課題解決法を打ち出すチカラをつける海洋教育プログラムです。6月から海と共に歩む街である福井県大飯郡高浜町で、全6回開校しており、今回が最終回となりました。発表会の様子は3月8日(土)に、特別授業の様子は3月末に福井テレビで放送されます。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。



イベント概要
・開催概要:ざわザワ高校~海の未来を変える哲学~#6
      「哲学思考で海と向き合った高校生による学びの発表会」
      「特別授業 “海がつなぐ未来への道”(番組収録)」
・日程  :2025年2月2日(日)13:00~16:30
・開催場所:福井県大飯郡高浜町 高浜公民館
・参加  :福井県内の高校生 男女16名
      海野光行(日本財団 海洋事業部 常務理事)
      堀潤(ジャーナリスト / 元NHKアナウンサー)
      岩内章太郎(豊橋技術科学大学 総合教育院 准教授)
      中村広花(高浜町産業振興課)
      藤本雅広(リアス・デザインラボ)
・番組  :「ざわザワ高校~海の未来を変える哲学~#6」
      〇放送 福井テレビ:3月8日(土)15:00~15:30 
      〇配信 TVer:3月8日(土)17:00~
          YouTube「福井テレビチャンネル」:3月8日(土)17:00~
          https://www.youtube.com/c/fukuitvbroadcasting

海と哲学の可能性
1年間、生徒たちと哲学授業をしていただいた豊橋技術科学大学の岩内准教授から「海と哲学の可能性」について「海を通して他者と関わる。高校生や高浜町の方と関わる。海の先にいる異文化で暮らしている人たちにも思いをはせる。時間的にずっと昔に存在していた人や、この先に存在しうる人にも海を介して哲学することができると思える。」とのお話をいただきました。この「海と哲学の可能性」をざわザワ高校生たちは、6月から5回にわたり、高浜町で物事の本質を探し、社会を改善していく哲学思考プログラムを考えてきました。高校生が高浜町の方々から学んだこと、教わったことを踏まえ、哲学思考で考えたことを高浜町の皆様に向けて発表です。

発表1. 「海と暮らし」
高浜町の方々は海が近いからこそ「盲目的」になっていないだろうか。一歩身を引き、全体を見ることで本来の良さが見えてくるのでは。という問いから始まった発表。街を巡るうちに、海が近いからこその高浜町の先進的な取り組みとあふれる海への愛を知ったこと。6次産業化の新しい建物と昔から残る舟屋の中に「良い暮らしとはなんだろう?」という問いにたどり着いたこと。他の地域との比較や、意外な発見などをクイズを交えながらと、高校生たちの工夫と伝えたいという意思を感じる発表になりました。
最後に、海が近いからこそ見えない高浜の良さを伝えるアクションアイデアを8つ発表。ひとつひとつに、実地調査による高浜への愛と哲学要素が溢れていました。






高浜町からの講評
高浜町産業振興課の中村さんからは、「近くて盲目的という気付きをもらいました。自分の中でも立ち止まって考えてみたり、一歩下がって見てみたり、もう少しまわりの人の思いに目を向けることが私の中でも必要になると感じた。高浜の人の温かさを伝えるためのイベント提言、感謝するとともに、イベントの先にどんな未来を想像しているのか知りたい。実現のために町職員として出来る協力はするので思いを形にしてほしい」。漁師の藤本さんからは、「高浜が大好きで移住してきたので当たり前に思っていたこと、日常の中の豊かさを言語化してくれた。提案してくれた『命に感謝しようイベント』は、海に対する考え方が多角的で、コアな部分に触れてくれた。ハードル高い気もするが、その方がやってて楽しい。ぜひ一緒にやれたらいい」とそれぞれ講評をいただきました。

発表2. 「日本人にとって海とは」
「経済的な観点からだけではなく、心理的な観点から海を考えたい」とスタートした高校生たち。海がどのような文化的、精神的な意味を持つのかを徹底的に考えました。海を「神聖な場所」と「生活の場所」に分け、「聖なるものとは」「生活とは」「人間とは」と哲学対話を重ねていきます。
フィールド調査では、「海からわしらは恵みを得ていて、わしらも海を守る対等な関係や」という漁師さんの声もあり、人間は自然の一部であり、長く共存していくために適度な距離と節度を持つべきだ、という意見にたどり着きました。提言では、海と人間は相補的な関係を持っていて、海が自分たちに与える恵みを自分たちも何らかの形で返すべきだとし、海とは生活と神聖さが重なる場所であり、それをつなぐシンボルがご神体。実際に見たご神体の環境は、生活のほうに傾き、ごみが落ちている場所でした。このご神体を聖なるもののシンボルとして刷新し生活と神聖さの両立を図るべき。高浜町の人と一緒にご神体の周りの清掃をする。また、わかりやすくシンボル化するため、観光マップなどに記載し、地域内外の方にも知ってもらう取り組みを提案しました。




高浜町からの講評・会場からの意見
高浜町産業振興課の中村さんからは、「高浜町の人にとって海は、守られているものでもあって、守っていかなければならないものでもある。ご神体のまわりだけではなく、町中をきれいにできるような取り組みをしていきたい。それによって海もきれいになっていくと改めて考えさせられた」。
漁師の藤本さんからは、「難しいテーマを、分かりやすく伝えてくれる工夫があった。提案のご神体の周辺清掃とシンボル化。そもそも町の人でさえ、あの場所を知らない人がけっこういる。海を通してはるか昔の人の思いがご神体の場所にはあるので、それを未来に伝えていくために必要。盛り上げていきたい。」とそれぞれ講評をいただきました。発表会に参加した高浜の民宿「五作荘」今井さんからは、「一人の高浜町民として、皆さんがいろいろ考えて提案されたことを大事にして、実現していくことによって、未来が明るくなっていくと思いました。ありがとうございます!」というご意見をいただきました。

学級委員長 堀潤さん、哲学講師 岩内先生から、「ざわザワ高校」の振り返り
発表会を終え、岩内先生からは「哲学は、物事の『そもそも』を問う原理的思考であり、言葉で『知』を生み出す創造的思考でもある。そこで大切なのは、モノの見方や感受性、立場の違いなど、お互いを理解し認め合うこと。そのうえで対話することで物事の本質に近づいていける。もともと哲学は、様々な文化、宗教、言語などが海を介して交わることで誕生した。私たちざわザワ高校は、海を考えることを通して、高校生同士はもちろん、高浜町の方々ともお互いを理解し深い絆を残すことができたのではないだろうか。」というお言葉を頂きました。
1年間、生徒たちに伴走いただいた堀さんからは、「僕は普段、世界各地、紛争や貧困など社会課題があるところに訪ねていくが、世界から見たときに高浜がどのような存在であるか。世界に対してどのような存在であるかを考えながら関わってきた。まさに、高浜の皆さんが海に誇りをもって様々なものを継承してくださっていることは、高浜以外の日本それぞれの目線から見ると自慢であり感謝。お互いが感謝しあえ、それぞれの誇りを尊重しあえるような世界になればと思っている。まさにここ高浜から、今日そのメッセージを打ち出せたのではないかと思う。まだまだこれから。誇りの先を何に向けるのか。どのように伝えるのか。ともにまた頑張りたい。」という感想をいただきました。




参加した高校生の声
高校生からは、「1年間通したからこそ考えられるテーマで、とてもやりがいがあった」「その土地と海の関係を考えることはなかったので、哲学によって新しい考え方につながる可能性が楽しかった」などの声をいただきました。

ざわザワ高校 特別授業 「海は誰のもの?」
哲学的思考で海の課題解決を目指すざわザワ高校。これまでになかった海へのアプローチにより高浜町でおこった変化、そして高校生の提言が生まれました。最終回では特別授業として、「海と哲学~ざわザワ高校~」を協力してきた日本財団 海野光行常務、ざわザワ高校 学級委員長を務めた堀潤氏、哲学講師の岩内准教授が、参加高校生と一緒に「海は誰のもの?」というテーマで哲学対話を行いました。
例として、海野常務から南鳥島近海で発見された海底鉱物資源・マンガンノジュールの実物を手にした高校生たち。海の資源を採るのか、残すのか、誰が決めるのか、だれが所有すべきなのか、足らない情報はないか等、様々な意見が飛び出します。未来まで持続可能な海のため、今の私たちが出すべき結論とは。議論の後に、国際的な議題でもあることを知った高校生たちの顔には喜びと自信があふれていました。議論の内容は、福井テレビにて番組放送されます。




「ざわザワ高校」参加高校生へのメッセージ
日本財団 海野常務からは「海もまだその90%がわかっていない。ざわザワ高校で皆さんがこの一年積み重ねてきた対話を止めずに、この先も“問い”続けてほしい。」という激励のメッセージをいただきました。




<団体概要>
団体名称:一般社団法人福井環境研究開発
URL:https://fukui.uminohi.jp/
活動内容:北は東尋坊にみる奇岩断崖が続く越前海岸、南は優美なリアス式海岸の若狭湾と変化に富んだ福井県の海は、北前船などの海上交通の要衝として古くから栄えてきました。また、寒流と暖流が交わる福井県沖は越前がにや若狭ガレイなど海産物の宝庫。(一社)福井環境研究開発では、海に親しみ、大切にする心を育てる運動を進めています。






日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/

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