展覧会「カタストロフィ」が11月20日から、福井市美術館(福井市下馬3)で開かれる。
ベニヤ板大のキャンバスに描いた作品。西野さんは「日本語の響きが好きなので、しっかりしたキャプションも付けたい」と準備を進める
福井在住の芸術家・西野カインさんによる、地元での初個展。同館2階「市民ギャラリー」に油性ペンやアクリル絵の具などで描いた約100点を展示する。横約90センチ、縦約180センチのベニヤ板大キャンバスに描いた自画像など、同展に合わせて制作した新作も並べる。
西野さんは越前町生まれの19歳。イベントでのライブペインティングや、画材を持って夜行バスで東京都内へ「遠征」するなどの活動を行っている。新型コロナ禍による緊急事態宣言で都市部との往来が制限された時には、「自暴自棄になるほど気持ちがふさぎ込んだ」という。
気分転換を兼ねて美容室に行ったことが個展開催のきっかけとなった。「髪を切ってもらったら、『個展をやってみたい』と一気にテンションが上がった。その足で美術館に向かって直近の空き状況を確かめてもらった。地元での個展開催という夢がかなってうれしい」と顔をほころばせる。
絵画制作を始めたのは14歳の頃。近年の活動を振り返り、「1年ほど前までは、『若さを売りにできるのは今しかない』という焦りがあった」とも。「外出自粛で活動が制約される中で年齢へのこだわりがほぐれていった。絵を売ってしっかり稼ぐという使命感より、『描きたいから描こう』という純粋無垢(むく)な気持ちが勝るようになり、今まで以上に絵を描くのが楽しくなった」
細密な書き込みや大胆な着色には、学校や教師になじめず不登校になった経験も投影される。「クラスになじめない人や、たくさん友達がいても孤独を感じているような人たちの味方でいたい。美術館は作品を見たいという意志を持つ人が足を運ぶ場。来てくださった方一人一人と、作品の感想などについて言葉を交わすことができれば」と笑顔を見せる。
開催時間は9時~17時15分(入館は16時45分まで、最終日は16時まで)。入場無料。今月23日まで。